松沢呉一のビバノン・ライフ

鼻出し受験の件とかピーチのマスク拒否騒動で逮捕の件とか—マスクよりもフェイスシールド[25]-(松沢呉一)

マスク・ファシズム」シリーズの方が適切かと思いますが、騒いだのは乗客が悪いのだけれど、マスク拒否はそんなに悪いのか?—マスクよりもフェイスシールド[22]」から直接つながっているので、「マスクよりもフェイスシールド」シリーズにしておきます。

 

 

 

マスク強要反対の私も擁護できない例

 

vivanon_sentence相変わらずマスクをめぐるトラブルがいろいろ起きてますねえ。

マスク・ファシズムに対するプロテスターの私も、これは擁護しにくい。

 

2021年1月19日付「毎日新聞

 

まず確認。警察が逮捕したのは、トイレに立て籠ったことについての不退去容疑です。トイレに逃げ込んだだけで警察を呼ぶ必要があるのかどうかの議論はあるにせよ、通報されたら警察は出動しますし、説得に応じなければ逮捕しますわね。

大学入試センターは受験票とともにマスク着用の説明文書を送付していて、サイトでも細かく説明をしています

 

 

 

ちょっとひっかかるのは、「手作りマスクでもいいのに、フェイスシールドだけではNG」という点です。

シールドの内側に文字が映し出される仕掛けをするのが出てくるかもしれないし(そんなすごいもんを開発する暇があれば受験勉強しろってことですが)、光の加減によっては、また、シールドによっては反射をするため、隣の答案が見えてしまうかもしれないことを考慮して(角度からしてまずあり得ないですが)、試験においてはフェイスシールドはNGというならわかるのですが、「マスク+フェイスシールド」はOKになってます。

「フェイスシールドだけでいいなら、マウスシールドだけだっていいだろ」とか、いろいろ面倒なことを言い出すのがいるので、マスクを基準にしたのはわからんではないのですが、本来マスクは完全なものではないのですから、マウスシールドでもなんでも口を覆えればよしとすべきだったのではないだろうか(以下に出てくる定期航空協会のガイドライン参照)。

そこにひっかかりはありつつ、持病によってマスクができない人は診断書を出して別室で受験できる旨も書かれています。

また、予備マスクも用意されていて、私のように忘れ物が多く、紛失することも多いタイプの受験生でも安心です。マスクを忘れないように神経を使い過ぎて、受験票を忘れる惨事を避けられます。

以上、事前の通知が十分になされているため、私としても容認の範囲です。

 

 

マスクがどうあれ退場が適切だったかもしれない

 

vivanon_sentenceマスクをすると曇るのは私も老眼鏡をしている時に実感しますけど、んなことは眼鏡をしている人は百も承知であって、曇らない眼鏡をするか、曇り止めを各自でするってもんでしょう。

鼻を出してはいけないとは書かれてないですが、「正しく着用してください」とあります。鼻汁が出ていない限り、鼻は出していてもいいわけですけど、この人物は咳をしていたとの証言が出ているので、鼻から汁を垂らしていた可能性もあり、注意されても仕方がないかと思います。咳が出ているなどの不調がある場合は追試を受けられるようになってますし、「受験上の注意」に以下の記載があります。

 

 

 

 

つまり正しくマスクをしていたところで、「明らかに激しい咳を何度もしていた」のであれば、退場させて追試験を受けさせるのが適切だったわけです。

それでごねて騒ぎを起こしたのであれば、大学入試センターが威力業務妨害で告訴することも、大学入試センターなり同室の受験生なりが民事で訴えることも可能です。「明らかに激しい咳を何度もしていた」と言えるかどうかが争点になりましょうけど。

49歳という年齢を見ても怪しいことこの上ないですが、この年齢で受験してはいけないってことはないので、ここはスルーしておきます。

 

 

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