松沢呉一のビバノン・ライフ

乳首の報じられ方—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[ボツ編]-(松沢呉一)

ボツ復活シリーズです。

「WE THE NIPPLE」の報道については「アート表現も抗議方法も報道も奪う日本の公然わいせつ罪—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[3]」や「「FREE THE NIPPLE」から「WE THE NIPPLE」へ—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[5]」で軽く取り上げてましたが、実際にはもっと細かく見ていく予定でした。ところが、「刑法174条・175条の見直し」シリーズは思い切り力が入っていたにもかかわらず、あんまり読む人がおらず、「とっとと終わらせないと、大事な話に至れないぞ」と焦って、内容をはしょりました。とくに「横道編」が始まってからはまあまあ読む人が増えたのですが、「エロい海外こぼれ話」として読まれているだけだろうと思われます。「法をどう変えていくべきか」という話まで興味を持つ人は少ないのです。難しいです。

 

 

乳首に対する各社の判断

 

vivanon_sentenceスペンサー・チュニックの作品をそれだけで捉えた時に、私はさほど興味を抱けなかったのですけど、そこから意味を抽出したり、その過程を確認したり、その反応を知ったりするとともに、その作品に強い興味を抱くようになってます。

それこそ、「猥褻とは何か」「公共の場での裸はどこまで許されるか」「それに対して法はどうあるべきか」「日本が海外を手本にすべき点はどこか」なんてことを議論するための格好の素材です。そのはずなのですが、チュニックの存在が日本ではポビュラーではなく、「WE THE NIPPLE」も上品メディアは報道しないため、その内容まではほとんど知られておらず、議論の素材にするためには説明をしていかなければなりません。

知れば知るほど、この人の存在は面白いことに気づくはずですので、ぜひこの機会に理解を深めていただきたい。

WE THE NIPPLE」の報道を見ているだけでも面白くて、一部アラートが出るものの、ガーディアン等の紙媒体やネットニュースではこの件の報道では乳首を出しています。入れ乳っぽいのがいるのもわかります。

 

 

2019年6月3日付日本版「ローリングストーン

 

 

これらのメディアは「WE THE NIPPLE」の行動を尊重しているわけです。

しかし、CNNは女の乳首がわかりにくい写真を使ってます。

 

 

2019年6月3日付日本版「CNN

 

 

手前は男です。よく見ると女の乳房もぼんやり見えてますけど、よく見ないとわからない。さらによく見ると、チンコが出ていたりするともっと面白かったんですけどね。

しかし、手に掲げている乳首は隠してないですね。これには意味があって、このプラカードの乳首はRed Hot Chili Peppersのドラマー、チャド・スミスやこの抗議行動の主催であるスペンサー・チュニックなど、男たちの乳首なのです。思う存分出せます。

この主催はしたたかなので、あのプラカードの中に、女の乳首を混ぜているのではなかろうか。乳首を針やペンチで育てているM男以外、たいてい男の方が乳首は小さいですが、写真だったらどうにでもごまかせます。そうすることで、男の乳首も女の乳首も差がないのだということをメディアに証明させるってわけです。そういうことをしそう。

 

 

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