香港のエクスティンクション・レベリオン/北京のエクスティンクション・レベリオン—ポストコロナのプロテスト[ボツ編2]-(松沢呉一)
「中国共産党の独裁が続く限り環境破壊は止まらない—ポストコロナのプロテスト[ボツ編1]」の続きです。2020年9月に書いたものです。
他の国が規制を強めれば中国がいよいよ環境破壊をやる
前回見たような現実の中で、各国が自国の環境基準を厳しくすればするほど、中国は自国のみならず、アフリカ等で環境破壊をします。XRの活動はアフリカで環境破壊を進める中国のサポートになっているわけです。
その上、中国が手がけると、手抜き工事で事故ります。安く請け負うために、また、建設費から賄賂予算を引くため、手を抜いて帳尻を合わせるためです。億単位の金をかけた建造物はあっという間に崩落するのは無駄であり、これこそがもっとも避けるべき環境破壊でしょう。
中国国内でも大きな建造物で多数の事故が起きているのは、「国土が広い分、事故も多いんだろう」と思っていたのですが、ケニアから発注された中国企業の橋が完成前に崩落した件では、「さすが中国クォリティ」と私も思わないではいられませんでした。完成前だったことが人や車に優しいと思えなくもない(思えねえよ)。
「決まりを守らず逮捕されたNYの高校生と中国の任志強—「決まりだから守れ」は全体主義への道[1]」で取り上げた任志強に対して懲役16年の計が言い渡されました。
習近平を批判したことが習近平の逆鱗に触れたことは明らかですが、罪状は収賄がらみです。CNNはこう解説しています。
贈収賄罪は、指導部に逆らった中国共産党の内部関係者の訴追によく利用される。
任氏に重い刑罰が言い渡されたことは、習主席に対する公の批判や離反が容認されないことをエリート層に見せつけるための警告と受け止められている。
そりゃ、裏で動く金で何事も進んで行く中国ですから、洗えばなにかしら出てくるってもんです。習近平体制を批判する共産党反主流派や企業家はこれでいつでも潰せます。
事故が多いのは技術力がないのでなく、賄賂が幅を利かせる中国の長年のやり方が反映されてしまっていると言われ、賄賂で得をするのは共産党幹部ですから、ほっといて解決されるようなものではない。政敵を潰す名目がなくなるので、この体質は中国共産党独裁である限りは続きます。中国国内で橋が落ちてもビルが倒壊してもどうでもいいのだけれど、国外でもこれをやっているんだからなあ。
※2017年7月4日付「CNN」
北京のXRと香港のXR
中国を巻き込まない限り、環境問題は解決せず、中国を外したところで対策を練っても、中国が競争に有利になるだけで、さらに環境破壊が進む。
この解決には、国内でのプロテストやメディアの報道が重要ですが、それも中国では期待できません。
XRは中国にも支部があります。北京と香港です。見事に両者の違いが出ています。たまたま運営者の質が違うだけではないでしょう。
香港支部は活発に活動をしていて、Twitterで環境問題についての情報や国内外のXRの活動を紹介しています。
また、香港支部のアカウントでは民主化支持とも受け取れるツイートもあって、STAND WITH HK(HONG KONG)の文字とともに「人権を守ることは人命を守ることです。政治問題や環境問題を語るには言論の自由が不可欠です」と言っています。その通りです。なのに、XR・UKは報道機関を攻撃。
対して北京支部は今年(2020)の3月に発足したようですが、何もしておらず、Facebookで新型コロナについての投稿をいくつかしたくらいで、4ヶ月間投稿もない。
中国でも住民運動については黙認されたりしますが、企業活動をストップしろなんて活動は許されない。人民日報の印刷工場で座り込みをしたら、確実に実刑を食らうでしょう。北京ではこのアカウントだけでもマークされそうです。
香港のXRもこの先活動が制限されるのではないか(結論は出たようです。追記参照)。
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