タトゥの反応は男湯と女湯でまったく違うらしい—タトゥの男女差[3]-(松沢呉一)
「女王様のタトゥ率・CAM4のタトゥ率—タトゥの男女差[2]」の続きです。
7月22日のパンディットの銭湯イベントでもこの話は詳しく聞く予定で、他の人の証言も用意しています。満員にはできないのですが、もう少し席はあるそうですので、ご予約はお早めに。
ほとんどの銭湯ではタトゥがあっても問題なく入れることをもっと知らしめた方がいい。しかし…
銭湯が好きな娘さん(7月22日のパンディットの銭湯イベントにゲスト出演するにせぽよ)から非常に興味深い話を聞きました。彼女は全身にタトゥが入っています。
男湯ではタトゥの入っている人はザラにいて、タトゥを入れている友だち同士で連れ立ってきていることもよくあるし、たまたま同時に複数いることも珍しくない。観音様が入ったじいちゃんとトライバルの若者が並んでいたり。
それぞれバラバラに来た人たちで、タトゥを入れているのが4人いたこともあります。この時はタトゥをしている人の方が多くて、入れていない私は肩身が狭かったです。全体を均してもタトゥが入っているのが1割以上いるんじゃないかろうか。
スーパー銭湯やサウナはたいていタトゥお断りですし、組合銭湯でも小綺麗なシャレオツ系銭湯ではタトゥNGになっていることがあるため、そちらに行けない人がタトゥ容認の銭湯に集中することも少しはあるかもしれないですが、組合銭湯では容認の方がずっと多く、全体の9割程度は容認でしょう。お断りの銭湯を避けて容認の銭湯に流れたところで、そうも大きく数字を上げるとは思いにくい。
この条件は女湯も同じですが、彼女によると女湯で仲間を見かけるのは極稀で、見かけるとしても、せいぜいくるぶしに小さなハートが入っているくらい。彼女の話を聞く限り、男湯のタトゥ率が10パーセントだとすると、女湯のタトゥ率は1パーセント以下だと思われます。
男湯だと数が多いので、目立つわけでもなく、気にすることもない。図柄が変わっていると注目することがあって、「これは何を描いているのだろう」とジッと見てしまうこともありますが、ほとんどの場合、そう見ることはない。
タトゥが気になったところで、「これはヘビですか、ウナギですか」と聞くことはありません。男湯ではもともとの知り合いじゃない限り、あるいは湯温がいつもより低い時に「ボイラーが壊れているんですかね」と話しかけることがある程度で、きっかけがない限り、まるで知らない人に話しかけたり、話しかけられたりすることは稀です。
とくに話すきっかけとしてタトゥは個人性が強いので、踏み込みにくい。片腕がない人に「どうしたんすか」といきなり聞けないのと同じ。長年銭湯に通っていたマゾの紅葉さんが、一度として体の落書きや火傷痕について聞かれたことがないのと同じ。あれは聞けねえわ。
※抜弁天の弁天湯は私も時々行きますが、ここはタトゥ率が高い。2割くらいいるかも。
男湯では考えられない女湯でのタトゥに対する反応
全然興味がないですが、もうじき東京で大きなイベントがあるらしいじゃないですか。オリンピックとかいう。
オリンピックで多数の外国人が来るのに、タトゥお断りの温泉はどうするかが以前話題になってましたが、「温泉やサウナ、スーパー銭湯はNG」ということばかりが強調されて、一般の銭湯はほとんどが問題なく入れることは案外知られていない。
これだけ外国人が日本にはいて、タトゥが入っている人たちもいっぱいいて、その人たちの中には「銭湯には行けない」と勘違いしている人たちがけっこういると思います。日本人でも勘違いしている人たちが少なくないくらいで。
ほとんどの銭湯は問題なく入れることをもっとアピールした方がいいと思うのよね。オリンピックの時だけじゃくて普段も。
知らない人に話しかけることは稀でも、話しかけて嫌がられることもまた稀な場所ですから、外国人と交流する場としては最適。実際、私はネパール人やギニア人と知り合ってます。
それを知らないでいるとしたらもったいないし、銭湯の生き残りのためにも外国人向けに「タトゥがあっても入れます」と貼り紙を出していいんじゃなかろうか。
ところが、女湯に関してはそうはいかないみたい。
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