彼女が照明を暗くして欲しがった理由が判明—エロと照明[中]-[ビバノン循環湯 596] (松沢呉一)
「24時間営業の違法店舗型ヘルスに行った時の話—エロと照明[上]」の続きです。
相手によっては2時間でも3時間でもなめていて欲しい
シャワールームでしげしげと彼女の顔を眺めると、どっかで見たことがあるような気がするが、前の店は行ったことがないので、そこで指名用の写真を見たわけではない。
「会ったことないよね」
「前の店で雑誌に出ていたから、それを見たんじゃないかな」
「それか。顔出ししているんだ」
「うん。この店でももう取材を受けたよ。そろそろ雑誌が出るんじゃないかな」
「だったら、前の店の客も来るようになって、いよいよ忙しくなるな」
「どうだろ。前は遅番だったから、普通の会社員でも仕事のあと寄って、電車のあるうちに帰れたけど、深夜までは待てないんじゃないかな。遠い人だとタクシー代もかかるし。あんまり期待はしていないよ」
しかし、新規の雑誌指名だけで予約が埋まってしまいかねまい。今だって十分に人気があるのに。本当に今日はラッキーだったみたい。
シャワールームから部屋に戻って聞いた。
「オレは攻め好きなんだけど、攻められるのは大丈夫?」
念のために聞いておかないとね。
「相手によるよ。大丈夫な人とダメな人がいるんだよ。大丈夫な人だったらずっとなめられていても平気。2時間でも3時間でもなめていていいよ。でも、下手だったら1分でもイヤ」
「60分コースで入っているんだから、2時間も 3時間もなめられないけどな。どうせこのあとも詰まっているだろ」
「たぶんね」
テクニックの巧拙だけじゃなく、相性の問題もあるので、どっちかの審査に落ちて、1分で「もうおしまい」と言われたらどうしようと思いつつ、ベッドに寝かせた。
リモート照明調節
バスタオルを下ろして乳首に舌を這わせる。ナメ始めてほんの10秒くらいで彼女は目を開いてこう言った。
「エッチうまそう。ねえ、本気で感じていい?」
どうやら早くも彼女の基準をクリアしたらしい。このコに限らず、乳首やクリのいじり方、ナメ方で瞬時に上手いか下手かがわかるというコは多いものだが、10秒とはまた早い。
「いいよ、思い切り感じてよ」
「私、イクとなんにもできなくなるけど、それでもいい?」
「いいよ」
「私、まだなんにもしていないよ。フェラもしていないよ。このあともできなくなるよ」
「いいよ、いいよ。思い切り感じてよ」
なんにもできないことを予め宣言するのはおかしなものだが、その理由はこのあとわかる。
「だったら電気を暗くして。本気で感じているところを見られるのは恥ずかしいから」
ここまで照明は入ってきた時のままだったのだ。彼女は普段は明るいままでやり、自分が本気で感じようとする時だけは暗い方がいいってことらしい。見た目と会話と違って、ここは乙女。私の乙女心も刺激された。
私はベッドから立ち上がって壁にある照明のスイッチを調節した。彼女はベッドの上で私に指令を出す。
「あ、ダメ。暗すぎ」
彼女としても少しは見えていた方がいいらしい。
「それって、すぐに真っ暗になっちゃうから、微妙に回さないとダメだよ」
彼女のアドバイス通り、少しずつ回す。
「うん、このくらいがいいな」
立場が逆のような気がするが、彼女としてはすでに仕事ではなくなっている証拠だ。
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