日本の食と「ひしゃげる(へしゃげる)」を守れるか—高騰する食糧と死語化する言葉-(松沢呉一)
米国産牛肉の高騰で松屋の牛丼が来週から値上げ
「干ばつ・寒波・熱波・洪水によって小麦・大豆・トウモロコシの価格が上昇—食糧危機の時代が始まったか」に書いた食糧の高騰があちこちで見られます。
松屋の牛めし並盛りが28日から60円値上げで380円に(松屋フーズのサイトによると、たんなる値上げではないのですが、実質値上げです)。
牛丼は私が大学生の頃からほとんど値段が変わっていない「安すぎる食い物」なので、そのくらいになっても全然おかしくないのですが、もとが安かったために大幅な値上げのように感じてしまいます。
松屋の値上げのニュースだけ観ていてもわからないのですが、牛肉高騰は中国に負けた結果です。
以下の報道がわかりやすい。
コモディイイダは北区滝野川に本社があって、埼玉県と東京北部を中心に展開するスーパーマーケットのチェーンです。東京南部にもありますけど、とくに板橋区や北区、足立区でよく見かけ、肉に力を入れている印象があります。弁当や惣菜も充実。
米国産牛肉は仕入れ値が倍ですってよ。米国産牛肉の輸出量の減少は新型コロナによる工場の停止などが原因ですが、その少ない肉を中国が買い漁った結果高騰。中国はトウモロコシの不作のため、国内の食肉生産量が落ちる可能性が高いことを見越したものでしょう。他で悪いことをさまざまやっている中国は、ここでは当たり前のことをしているだけで、別段悪くはない。
牛肉だけじゃなく、輸入豚肉、輸入鶏肉も値上がり傾向にあり、今年は長雨で日本国内の野菜が高騰していて、「小売も飲食業界も家計も直撃」ってことですけど、それぞれに理由は違えども、気候変動が通奏低音のようにジワジワと迫ってきているのを感じないではいられませんし、これは世界規模で起きつつある食糧危機の一端であることを見据えていたいものです。
地震でひしゃげた車
「干ばつ・寒波・熱波・洪水によって小麦・大豆・トウモロコシの価格が上昇—食糧危機の時代が始まったか」で、地震と洪水が同時に襲来したメキシコを取り上げましたが、メキシコは数年に一回大きな地震が来ています。
以下は2017年の地震について調べている時に見つけた記事。
2017年9月20日付「AFP BB News」
地震の瓦礫で押しつぶされた車を表現する適切な言葉は「ひしゃげる」でしょう。
前振りで深刻ぶったことを書きましたが、ここからが今回の本題です。
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