銭湯までの非公開禁煙トーク・イベント—高円寺パンディットで禁煙を完成させる計画[中]-(松沢呉一)
「奥野店長も禁煙を始めていた!—高円寺パンディットで禁煙を完成させる計画[上]」の続きです。
成田東の吉の湯へ
練りに練った計画が次々と頓挫して肩を落とす私に奥野君はこう聞いてきました。
「今日もこれから銭湯に行くんですか」
「決めてないけど、行くかな」
いつでも用意はしています。
「行くんだったら、お付き合いしますよ」
もう東京都内の銭湯は制覇したので、どこかに出かけるたびにひとつずつ潰していく作業は必要はないのですが、このところ凝っている「一回行っただけの銭湯を再訪するシリーズ」をやるのもあり。昨日は中野区の「一回しか行ったことのない銭湯」に行ったところなので、今日は杉並区のどこかに行くか。
奥野君は小杉湯となみの湯くらいしか杉並区の銭湯は行ったことがないそうなので、私は成田東にある「吉の湯」を推奨。ここはどこの駅からでも遠いのですが、スーパー銭湯並の施設の組合銭湯です。
露天風呂が広くて、そこに壺湯があったことと、麻布の黒湯温泉から湯を運んできていて、黒湯を楽しめたことは記憶にあって、もう一度行きたい銭湯ではあるのですが、何分にも遠い。新高円寺からでも南阿佐ヶ谷からでも15分くらいかかり、高円寺、阿佐ヶ谷、西永福からだと20分くらいかかりそうです。
遠い銭湯は帰りがとくに辛い。疲れて路上で寝たくなります。吉の湯は一人で行くには遠すぎるので、この機会に再訪するのはいいかもしれない。
高円寺から歩いて行ったのですが、えれえ遠回りをしてしまって、30分くらいかかったと思います。奥野君がいてくれたので、退屈しないで済みました。
※パンディットの喫煙所より。本当に吸いたい時はこれだって吸いかねない
喫煙可の店の条件
途中はずっとタバコについて話しました。
「タバコをやめてよかったことはもちろんあるんだよ。金がかからなくなったとか。でも、もともと半分以上が税金という税制がおかしい。暴動が起きたらオレも参加するよ。あと、やめてよかったことは、行けなくなった場所にまた行けるってことかな。映画館とか劇場とか、外に喫煙所くらい作ってくれればいいのに、それもなかったりするじゃないか。行く気がしないよね」
「飯屋だってそうですよ。禁煙の店が増えすぎて、外で食事をすることが減りましたよ」
「だよね。ファミレスも行かなくなったよ。何が分煙だよ。ただの排除じゃねえか。だったら、デリバリーで家で食った方がいいってことになっちまうよな」
「そうなんですけど、何人かで店に行くと、誰かがもうちょっと食いたいということになってまた頼むじゃないですか。頼んだら他の人も食べる。さらにデザートを頼んだり。デリバリーはそれがなくなってしまって、結局、売上が減っていると思うんですよ」
「コロナで飲食店が厳しいんだから、この時くらいタバコを吸えるようにすればいいのに。実際、“タバコを吸えます”という表示をしている店が少し増えているかもしれない。店主一人でやっている店とか」
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