松沢呉一のビバノン・ライフ

副鼻腔炎が治らねえ—一世紀前から現在まで続く「副鼻腔炎は脳に影響する」との説-(松沢呉一)

 

蓄膿症の根治は容易でない

 

vivanon_sentence急な頭痛に襲われて寝込んでから半月以上になるのに、まだ副鼻腔炎は治ってません。

先週末で薬が切れたのですが、私は薬が嫌い。今まではっきり「薬が嫌い」と思ったことはあんまりないのですが、毎食後、4錠から6錠飲むのは辛いです。水を一緒に飲まないせいですが、一度は喉にひっかかって飲み込めず、慌てて吐き出しました。死ぬかと思った(大げさ)。

薬を飲み始めて全体としては好転していたので、「もういいか」と思って、薬が切れても病院には行ってないのですが、その後は変化がなく、相変わらず、痰がよく出るし、鼻の奥が痛い。

また、薬が切れた途端に頭痛が復活しています。熱はないので、普通に生活することはできますが、一度出ると長時間痛みが続くのはあまりいいものではありません。

医者は「痰が出るようになったのは禁煙したからではないか」と言っていて、その通りだとすると、今出ている痰も副鼻腔炎には無関係かもしれないのですが、早くから副鼻腔炎の症状が始まっていた可能性もあります。2ヵ月ほど前から始まっていたのだとすると、現在すでに慢性副鼻腔炎、つまりは蓄膿症です(発症から1ヵ月までが急性、そこから先は慢性ですが、より細かく2ヵ月から3ヵ月が亜急性、その先が慢性としているものもあります。便宜的な区分ですので、どっちでもよい)。

※林熊男著『神経衰弱と蓄膿症 : 蓄膿症簡易根治法』(大正12年)の見出し。副鼻腔炎という言い方は以前から存在していましたが、急増するのは1970年代なので、たぶんその頃に医学用語としては副鼻腔炎になったのだと思われます。蓄膿症はイメージが悪いってこともあったかもしれないですが、獣医学では子宮蓄膿症という用語があるように、膿が溜まることしか意味しておらず、鼻の病気であることを明示する意味があったのではなかろうか。

 

 

治りやすい副鼻腔炎と治りにくい副鼻腔炎

 

vivanon_sentenceしばしば副鼻腔炎は風邪をひいたことをきっかけに発症しますが、この場合、多くは風邪が治るとともに自然治癒します。「今回の風邪は鼻の奥の痛みが強かった」でおしまい。

こういった「ほっといても治る急性副鼻腔炎」と違って、ほっとくと治らないタイプがあって、炎症をもたらしたウイルス等が何かにもよりましょうし、アレルギー性の副鼻腔炎は外部からの病原体とは関係がなく発症します。

また、数は少ないらしいのですが、好酸球性副鼻腔炎というタイプがあって、これは白血球の一種である好酸球が増えることで炎症が起きるもので、体内要因で生じる点でアレルギー性に近いのですが、この好酸球性副鼻腔炎がもっとも薬が効かず、よって治りにくく、手術をしても再発しやすい難治性の副鼻腔炎とされています。喘息等を合併しやすく、ニオイがわからなくなるなど、症状も厄介です。

ニオイがわからなくなるという症状は新型コロナでもよく聞きますが、鼻が詰まって嗅ぎにくいことはあれども、今のところ私はニオイはわかります。

私の副鼻腔炎はどのタイプなのか確定させるためには新たな検査が必要と医者が言っていた通りで、どうでもいいと思っていたのですが、なかなか治らないため、だんだん気になってきてはいます。

※林熊男著『神経衰弱と蓄膿症 : 蓄膿症簡易根治法』(大正12年)

 

 

子どもの慢性副鼻腔炎は増えているかも

 

vivanon_sentence治らないせいで、「救いを求めて」ってわけではないのですが、つらつらと検索して、副鼻腔炎について詳しくなってきてまして、まずは訂正をしておきます。

私が子どもの頃に較べて、蓄膿症の子どもは減っているかのようなことを書いてしまいましたが(そう書いている医師もいます)、間違っていたみたいです。薬によって以前ほどは症状が出なくなっているとしても、数はむしろ増えているかもしれない。

 

 

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