会ってすぐに話し始めた彼女の事情—イチゴの涙[中]-[ビバノン循環湯 600] (松沢呉一)
「顔のわからない指名写真でも指名が殺到する風俗嬢—イチゴの涙[上]」の続きです。
彼女は典型的な貢女だった
イチゴを食べながらいちゃついているうちに、最初はガチガチに緊張しているようだった彼女はすっかりリラックスしていて、会ったばかりだというのに、いくぶんのためらいを見せつつも、この仕事を始めた事情を教えてくれた。
「借金でもした?」
「そうじゃないんです。つきあっている人が会社を始めるんだけど、どうしてもお金が足りないというので、私が援助してあげることになったんです」
初対面で彼氏がいることまでを教えてくれるのは珍しい。顔の写真を出さないわりに、ガードが甘いかも。土産ひとつで話の契機が生まれ、一緒に食べることで気持ちが通じ合ったりするのだから、土産の効力はすごい。
話を聞くと、彼女はいいように利用されているだけのようである。実家に住んでいるため、さして生活費はかからず、給料の一部を渡していたのだが、それでも足りないと言いだしたというのだ。
「ああ、話しちゃった。この話、誰にも話してなかったんです。お店の人にも‘お金の事情がある’としか言ってないので、内緒にしてくださいね」
彼女は私に告白をし、それによってよいよい気が楽になったようで、表情がうんと緩んでいる。
「初めてのお客さんはドキドキします。今日も緊張していたんですけど、こんなことまで話してしまいました」
「初めての客だから話せたのかもね。まだ互いに何も嘘を言ってないから、本当のことを言ってもその嘘を裏切らない」
「そうかもしれない。あと、イチゴのせいです、きっと。……優しい人ですね」
「そんな話を聞きながら、乳揉んでるのにか」
「うん、触り方が優しいです。ホントに感じてきちゃいました。早くして欲しくなっちゃった」
スカートの中に手を入れると、彼女は小刻みに体を震わせる。下着に染みがつくくらいに濡れていて、彼女は私の頭に手をやって、顔をこちらに向け、再度イチゴ味のキスをしてきた。でも、私もイチゴを食べてしまっているので、もう味がわからない。
「そろそろお湯が入ってますよ」
ここは一緒に風呂に入る趣向だ。
※Lucas Cranach der Ältere「Adam and Eve」
電気が走ります
服を脱がして改めて全裸で抱き合う。
「いつもと全然違います。いつもより楽しいし、いつもより気持ちいいです。フフフ」
風呂に入ってまた抱き合う。体をよじる。腰をなまめかしく動かすものだから、セックスをしている気分。
「感じちゃいますよ」
「感じていいんだよ。仕事のことなんて忘れちゃいな。男のことも忘れなさい」
「はい、忘れます」
素直だ。
湯船の中に立たせてクンニをすると、足をガクガクさせている。
「すごい気持ちいい。舌が当たるとビビビってなります。ホントにもう仕事にならないです」
「気持ちよくなっていいよ」
「早くベッドでして欲しい」
ベッドでも彼女はこちらに身を委ねる。オッパイの先を舌でなぞると抱きついてきて、腰を動かしている。手の指をなめるだけでも、体中がビクビクと反応する。
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