松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシアのウクライナ侵攻で小麦と原油の価格はさらに高騰、物価・公共料金・税金は上がり続け、犯罪と餓死者が増加する—ウクライナと無関係でいられる国はひとつもない-(松沢呉一)

 

 

モスクワでの戦争反対行動に涙する

 

vivanon_sentence 昨日はずっとウクライナ関連の記事を読み、動画を観ていました。

世界の各所でロシアに抗議する行動が行われていました。おそらく今日もあるでしょう。

日本でも複数の行動があったようです。

 

 

もっとも胸が熱くなったのは以下の動画です。

 

 

モスクワでも抗議が行われてました。しかし、合法でそんなことができる国ではなく、インターネットで情報が流れて、散歩を装って歩き、時々小さな声を出すのが限界。

もともと私は言語の聞き取りが苦手な上に、耳に慣れないためか、ロシア語でなんと言っているのか聴きとることが困難ですが、戦争反対(Против войны)ではなさそう。

当然、警察も情報をつかんでいて、多数の警官が配備されています。おそらくコサック(民兵)も潜んでいると思います。

時々連行されている人たちがいて、手に何か持っている人もいます。バナーを出して、違法集会なり扇動なりの証拠とされたのでしょう。

後半、広場で捕まって護送車に入れられている人たちは若い女性が多いように見えます。

こんな状況でも反対の意思表示をしないではいられない人たちがいっぱいいます。もろちん、プーチンの言い分、政府の言い分、国営メディアの言い分をそのまま信じている人たちはもっといっぱいいるでしょうけどね。

このeuronewsだけじゃなく、多くのメディアが取材をしていて、この点でも中国ほどはひどくない模様(中国ではオリンピックの取材でさえも妨害されてました)。

いかに集会の自由や表現の自由が大事かってことですが、多くの国でウイルスを前にそれらの自由は踏みにじられてしまいました。

 

 

小麦原料の食品はさらに値上りすることが決定

 

vivanon_sentenceウクライナ情勢が緊迫する中、数日前に、サンヨー食品が「サッポロ一番」などのインスタント麺の値上げを発表。

この値上げはウクライナ情勢を見据えてではないでしょうが、ウクライナの緊張とともに国際的な小麦価格が上昇して、昨日のロシア侵攻でさら上昇。市場は敏感です。

ウクライナもロシアも小麦輸出国です。戦禍でウクライナの小麦の生産や輸送がスムーズにいかなくなったり、ロシアに対する制裁でロシア産の小麦が外に出にくくなったりすると小麦不足が加速するのは必至で、そのことを念頭に入れて今から商社が動いているのでありましょう。

ロシアの小麦が制裁で輸出できなくなったら、小麦輸入国の中国はシメシメです。中国のことだから恩を売って小麦を安く買い叩く。そうすると、中国が小麦を買い漁ることがなくなって、そんなに小麦相場は上がらないかもしれないですが、これまでの動きと違う動きがあると、得られるはずのものが得られなくなる国も出てきます。

日清食品、東洋水産、サンヨー食品が値上げを決定し、富士そばも値上げし、パンも、パスタやうどんなどの乾麺もすでに値上がりしていますが、ウクライナ情勢次第で、さらなる値上げは避けられなくなります。

小麦粉の価格が1割上がったところで、消費者としてはたいしたダメージではないですが、小麦を使用する食品は幅が広いので、その影響は大きい。

※2022年2月22日付「日本経済新聞」 私もすぐには「サッポロ一番」のメーカー名が出て来ません。見出しでも「サッポロ一番」しか書かれていない報道が多いのですが、日経はしっかり出しています。

 

next_vivanon

(残り 1047文字/全文: 2561文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ