インターネット時代の戦争—ロシア人YouTuberたちと200rf.com-(松沢呉一)
「ウクライナ二題—プッシー・ライオットのナディアが呼びかけたウクライナへの寄付/続・ロシア兵の死者数」の続きです。
インターネット時代の戦争
「ウクライナ三題—ジンジャー(Jinjer)からのメッセージ/プーチンとヒトラー/ウクライナ兵とロシア兵の死者数」に書いたように、ウクライナに関する私の知識は決して多くはなく、思い入れみたいなものはあまりない。それよりもエチオピアに対する思い入れの方が強い。つってもたいしたことはないですが、政治、民族、歴史、文化に対する理解が少しはあります。
そのエチオピアの内戦では、いくらやきもきしたって、インターネットは遮断され、ジャーナリストは完全排除されたため、情報が出てこない。時折d-@4シウ社数字が出てくるのと、難民となったティグレの人々の証言が頼りです。劣勢と思われていたティグレの反撃が始まって、アジスアベバに侵攻するとの情報が一時出てましたが、あれもどうなったことやら。
今回のロシアによるウクライナ侵攻の方がはるかにリアルです。こんなふうにたった今起きている戦争を身近に感じたのは初めてかもしれない。おかげでずっと映像を観ています。
ウクライナ東部でロシア人に対するホロコーストが行われているという嘘を名目にしたプーチンによる不当な侵攻が行われ、当初の名目はどこへやらで、キエフに対する侵攻もほとんど同時に始まり、軍事施設に対する攻撃に限定するというのもまるで嘘で、砲撃を受けた子どもらが死んでいきます。そこから逃れてハンガリー、ポーランド、スロバキア、ルーマニアなどに到着した人々の声も聞ける。日本にいるウクライナ人やロシア人の言葉を聞くこともできます。
プッシー・ライオットのマリアのように、国内で政権の気に入らない発言をすると、デマだと認定されて、それだけで捕まることもありますが。情報を得ることはまだしもできます。ロシア国内からウクライナ発の情報は遮断されているようですが、それ以外の国をチェックすれば、ロシア政府の発表とは違う情報も入手できます。
インターネットの時代です。
※ロシア人YouTuberの皆さんはこの1週間の間に次々とウクライナ侵攻についての意見を表明しています。このSSは安涼奈さん。こんな意思表示ができるのもインターネットの時代ってことですが、それをやらないと叩かれるみたいっすね。気持ちワル。「ロシアが攻め込むなんてあり得ない。NATOが大げさに騒ぎ立てて事を大きくしている」などとプーチンの代弁者をやってしまった人は弁明すべきですが、黙っていたい人は黙っていいいじゃないですか。国に帰ったら何されるかもわからんのですから。
ロシア兵の死者数と200rf.com
数日前から、自ら投降するロシア兵の話がチラホラ出てました。理由があれば人は人を殺せますが、今回はプーチンの愉しみしか理由がない。正義のない戦争では人を殺せない兵士もいるでしょう。
さらには部隊単位で投降する例も出てきているようです。
これが本当であれば、200rf.comに情報が出るはず。
この報道に出てくる捕虜の証言から見ても、ロシア軍の質は低く、なおかつ正確な情報も与えられていないため、ウクライナ人に反発されて戸惑っている様がよくわかります。
プーチンはまさかウクライナがこれほど強硬に抵抗をするとは思っておらず、すんなりウクライナを制圧できると甘く考えていたとの説が出ていますが、捕虜の様子からもそうだった可能性が高そうです。周りイエスマンしかいない指導者が、誰もが俺様に従うと思い込んだ悲劇です。
そこでロシア側は体勢を立て直して本格的攻撃に出ているところです。
こういった証言を確認できるのがウクライナ政府がスタートさせた200rf.com。
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