政府専用機に乗るウクライナ難民がたったの20人である理由を推測する—日本に必要なもの-(松沢呉一)
「ベラルーシを通過するロシア軍を阻止するための鉄道戦争に、サイバー・パルチザンとBYPOLが関与—ベラルーシの民主化闘争は終わっていない」の続きです。
教訓的な夢
またウクライナ難民の夢を見ました。つってもテレビで流れていたニュースを観るだけの夢ですけど、ドイツに避難したウクライナの女性が、ドイツ語を話せず、仕事も見つからず、孤独に耐えかねて、ビルから飛び降り自殺したという内容でした。
彼女はウクライナで高校の教師をしていて、その生徒だった男子がいかに優しい先生だったかを泣きながら日本語で語ってました。
目が覚めてから、「戦火から逃れられればいいってもんではなくて、そのあとのケアをどうするかまで考えるしかない。もしくはケアしなくていい人を受け入れるしかないよな」と思いました。私の夢は教訓的です。
ずっと言っているように、私は「移民・難民をもっと受け入れるべし」と考えていながらも、「受け入れは慎重にやった方がいい」とも考える慎重派であり、その私の姿勢がよく出た夢でした。
ヨーロッパ各国が飽和状態なのだから、数千人は受け入れていいのではないかと思うのですが、ポーランドに逃げても、言葉ができず、仕事が見つからず、ウクライナに戻る人たちが後を絶ちません。とくに昨日今日はキーウ州がロシア軍から奪還されたので、ウクライナに戻る人が激増しているようです。
嘘つきロシアは、ひとたび安心させておいてまた攻撃してくるかもしれないので、まだ安心はできないし、当面元通りの生活はできないけれど、見知らぬ土地にいるよりマシと考える人たちもいるでしょう。
ポーランドだったらすぐにウクライナに戻れますが、日本に来て孤立した状態だと辛いと思うなあ。ドイツで孤立するよりもっと辛い。
※コンビニやスーパーにはたいてい募金箱が置かれていますが、ふと見たら、セブン-イレブンの募金は「ウクライナ難民」になってます。とくに深い考えなくそうしたのか、「ウクライナ避難民」という言い方に異議を唱えているのか不明。募金の受付は4月いっぱいです。
理想的な受け入れ環境
ウクライナ人受け入れの動画でメチャ好きなのはこれ。
テレビ局もお茶の間も、涙で彩られた来日風景を求めているのに、空気を読まないところが素敵。マキシム君はここで鍛えられて、将来はシルク・ドゥ・ソレイユの看板団員になるのです。といった夢も広がります。
なによりこの環境だったら孤立しない。ウクライナ人が先に来ていて、当面通訳してもらえるし、必要な言葉はすぐに覚えるでしょう。全体が家族みたいなものなので、日本人も厳しくしつつ優しい。理想的な環境です。
政府専用機に乗るのはたったの20人
林外務大臣が何をしにポーランドに行ったのかよくわからんですが、その帰り、専用機に日本に避難するウクライナ人を同乗させるとのこと。当初は30人程度が見込まれていましたが、20人だけです。
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