松沢呉一のビバノン・ライフ

「モスクワ」の艦長は死亡し、黒海艦隊の司令官は逮捕され、8人目の将官も死亡—サーシャ・スコチレンコの抵抗は拡散されている-(松沢呉一)

プーチンに事実を伝えれば粛清され、プーチンが好む虚偽を伝えれば粛清されるロシアの地獄—これぞ独裁」の続きです。

 

 

ロシア将校戦死情報

 

vivanon_sentence米国もウクライナを追認して、ミサイル巡洋艦モスクワは、ウクライナの巡航ミサイルネプチューン2発が命中して沈没したとほぼ確定しましたが、残念なことに動画がない。それらしき動画が出てますが、本物ではないでしょう

ロシアの戦車が爆破される映像、ロシアの戦闘機やヘリコプターが墜落する映像を観るのが三度のメシより好きな私はそこが寂しく、それを確認しないとモスクワがネプチューンで沈没したことを信用できず、熟睡もできない。

一説によると、バイラクタルTB2が囮として飛ばされ、そちらにモスクワの注意を引きつけている間にネプチューンを発射したということです。バイラクタルTB2が撃墜されていたとしても映像は残っているはずです。

ロシア政府や軍が公式に認めたわけではないですが、ロシア側からもウクライナにやられたと見る意見がチラホラ出ています。

さらに追い打ちをかけるように、ウクライナは、艦長のアントン・クプリン大佐がモスクワとともに亡くなったと発表。ミサイルの爆発と火災の段階で亡くなったようです。

ロシア政府は、当初、乗組員は全員他の船に乗り移って無事としていましたが、ロシア側からも死者が出たことを認める発言が出始めています。

ロシア連邦の下院議員イリヤ・ポノマレフは58人が救助されたとSNSに発表。59人しか乗船していなければ、亡くなったのは艦長だけですが、海上に出ている場合は、通常、510人が乗船していて、400人以上が行方不明。これが事実だとしたら、事実を晒したイリヤ・ポノマレフ議員も行方不明になるかもしれない。

経済的損失のみならず、人的損失も戦車や戦闘機とは比較にならず大きく、凄惨すぎて、さすがにロシアでも「ざまあ」とは言えなくなります。でも、動画は観たい。

※2022年4月15日付「ЖИВОЙ ЖУРНАЛ」 この記事によると、今回の沈没によって、黒海艦隊の司令官イゴール・オシポフ提督が逮捕されたとのこと。

 

 

戦死した将官の暫定8人目

 

vivanon_sentence

続いては将官。

昨日の土曜日、ロシア第8軍副司令官であったウォロディミル・フロロフ少将の死亡が確認されました。

またも葬儀優先で、サンクトペテルブルクの葬儀に参列した人がSNSに書いていたことからわかったもので(その後、ロシア・メディアも報じている)、詳細は書かれておらず、ウクライナ側もまだどこでどう死んだのか把握できていない模様。

戦死ではなく、下半身で揉めた刃傷沙汰かもしれないし、新型コロナかもしれないのですが、ウクライナ戦争で死んだロシア将官の「暫定8人目」としておきます。

※2022年4月16日付「Телеканал Санкт-Петербург」(TVサンクトペテルブルク) 州知事が葬儀に参列し、その弔辞の内容から、戦死だろうことがわかります。

 

 

next_vivanon

(残り 1095文字/全文: 2348文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ