U2のボノとジ・エッジはキーウのシェルターへ—「戦勝記念日のパレードよりやるべきことがあるだろ」と政府に楯突いたロシアのラッパー、モルゲンシュテルンはUAEへ-(松沢呉一)
「ウクライナ戦争」シリーズとしては「泥酔してウクライナ陣地に迷い込んで捕虜になったロシア兵—ロシア兵の正体[中]」の続きですが、内容としては「ロシアの化学工場や軍の研究施設で相次ぐ火災—ただの火災? ウクライナ軍の新たな反撃? 国内反プーチン勢力によるレジスタンス?」の続きです。そんなにはつながってないですが。
U2のボノとジ・エッジがキーウのシェルターで演奏
昨日、バイトに向かう電車の中で、また「メデューザ」を見ていたら、U2のボノとジ・エッジがシェルターになっているキーウの地下鉄構内でライブをしたんですね。
一緒に「スタンド・バイ・ミー」を歌っている迷彩服はウクライナのANTYTILA(АНТИТІЛА)というバンドのメンバーです。彼らも兵隊として闘っています。
こういうバンド。
2千万再生回数。こんな人気バンドでも銃を持たなければならないウクライナ。Jinjerのメンバーも銃を持って闘っているのでしょう。切ない。
人気のあるミュージシャンだって、場合によっては戦死します。今は安全とは言え、U2がキーウに行けばいきなり糞ロシアがミサイルを撃ってくるかもしれない。それでも行く。
かく言う私も昨日「ウクライナに行かないか」と電話で誘われましてね。
「政府専用機に空席ができてさ。行こうよ」
「いいね。でも、パスポートが切れてるわ」
「大丈夫だよ。政府専用機で行く時はパスポートとかビザとかいらないんだよ」
「あ、そうなんだ。じゃあ行く」
という会話をしたところで目が覚めました。私が歌っても誰も喜ばないわけで、何をしにウクライナに行こうとしていたんだろ。
なお、政府専用機で行く場合はパスポートやビザがいらないという話は電話の相手が言っていただけです。そんな感じはしますけど、違っているとまずいので、政府専用機に乗る場合は各自確認のこと。
人気ラッパーはスパイだった(笑)
ここまではさわりで、今回はロシアのミュージシャンによるプロテストです。戦争が始まってすぐにラッパーのOxxxymironの戦争批判を取り上げ、続いて同じくラッパーのFaceの反戦の書き込みを取り上げましたが、プッシー・ライオットは別にして、ロシアのミュージシャンによるプロテストの紹介はそこで止まっていたかと思うので、以降について。
ロシアを捨てたOxxxymironはロンドン拠点になっているようですが、その後も「Russians Against War」を続けています。以下はベルリン。1時間半のフルヴァージョンです。
彼がロシアを去ってからも、さまざまなミュージシャンがプロテストしています。
ロシアのラッパー、モルゲンシュテルン(ロシアでも原則ドイツ語表記をしていて、ドイツ語で「明けの明星」の意味。また、姓としてもドイツでも使われる)は数日前にロシア法務局から「外国勢力のエージェント」と認定されました。つまりはスパイだと。
人気ラッパーがスパイだったら通常は大騒ぎですが、この場合は「ロシアってホントに糞国家だな」との感慨が強まります。
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