ナチスのことを知りもしないのに「非ナチ化」としてウクライナに侵攻したナチスもどきの糞ロシア—ヒトラー・ユダヤ人説に根拠なし-(松沢呉一)
「イリーナ・ヴェネディクトワ・ウクライナ検事総長が誤爆か?—無関係のベラルーシ人をブチャ虐殺の犯人扱いした可能性」の続きです。
公然と「ヒトラー・ユダヤ人説」を開陳する低能外相
プーチン政権の底の浅さはすでに世界の知るところですが、さらにラブロフ外相が無知と無神経を露呈。
ユダヤ系であるゼレンスキーが大統領である国家がナチスに支配されているという物語を成立させるために、小学生向けのチープなヒトラー読本みたいなものを読んだ記憶を語っていやがる。
「ヒトラー・ユダヤ説」は「ビバノン」でも軽く取り上げています。どうでもいい話として取り上げただけ。ヒトラー自身が気にはしていたようですが、固執していたのはナチ党幹部でした。とくにヒムラー。もしそうだったら、ヒトラーの決定的な弱点を握ることができ。党内で有利な地位を確保できるため、しつこくこの説を調べさせていますが、結局証拠は見つかりませんでした。
新しい根拠が登場する日が来るかもしれないですが、ヒトラーの時代から今に至るまで、この説は信憑性がなく、研究者のほとんどはこれを否定するはすです。「ヒトラー・ゲイ説」などと同様、「そうだったら面白い」という以上の意味はなく、飲み屋の話ならいいとして、政府高官が公然と語るようなものではありません。
この程度の理解で、「非ナチ化」を口にしているんだから呆れます。「ビバノン」を読んどけ。
ラブロフ外相の発言でイスラエルが激怒したのは当然
この話はどういう文脈で出てきたのかというと、イスラエルがウクライナを支援していることに対して、「なぜユダヤ国家がネオナチ国家を支援するのか」とロシアが批判し、対してイスラエルの外務省は、「ゼレンスキー大統領自身がユダヤ人であることがウクライナがネオナチ国家ではないことの証明」と反論。
これに対してロシア外務省はポーランドのゲットーでもナチスに協力してゲットーの管理をやったのがいると指摘し、ユダヤ人だからネオナチではないとは言えないとします。それどころか、もっとも厳しい反ユダヤ主義者はユダヤ人自身であるとして、「ヒトラー・ユダヤ説」を持ちだしたのです。
これにイスラエルは激おこ。当然です。ラブロフ外相は「ユダヤ人迫害はユダヤ人自身によって行われた自作自演だった」と言っているに等しい。自作自演が得意なのはてめえらだろが。
ゲットー内の警察や自治組織はユダヤ人自身がやりましたが、それは強いられた環境で生きるためです。
また、イスラエルの義勇兵が、アゾフ連隊と行動をともにしていることをロシア外務省は問題としています。これ自体、事実かどうかはっきりしないのですが、事実だとしたって、今現在のアゾフ連隊がネオナチではないことを示していると考えていいでしょう。
(残り 2016文字/全文: 3255文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ