松沢呉一のビバノン・ライフ

ゲラシモフが粛清されたとの説とともに、軍幹部の逃亡が始まったとの説も—将校が40人も死んでいるのに戦争なんてやってられっかよ-(松沢呉一)

一度の戦闘でZ戦車が大量破壊されることが連続している—ロシア軍、全滅への道」の続きです。

 

 

40人目の将校の死亡

 

vivanon_sentence前回取り上げた「一度の戦闘で、ロシア軍の52両の戦車や装甲車、トラックが破壊され、千名以上のロシア兵が死傷」って話は、隠せるような規模ではないので、ロシア・メディアが報じなくても、どこかしらから流れてきて、時間差でロシア軍の内部でも知られることになりそうです。いよいよ士気が下がります。このあと、ロシア軍の中で命令拒否、逃亡が続出する予感。どうせだったら軍の内部で蜂起するといいと思うな。

あれがなくてもロシア軍は崩壊寸前で、それを決定づけた感があります。

ロシア軍がまともに戦争ができないことは、ウクライナに投入された将官が続々死んでいる事実を上げるだけで十分かと思います。

早くからそこに注目して、将官については、どういう人で、どういう死に方をしたのかまで確認するようにしていて、名前と顔がきれいには一致しないながら、それぞれぼんやりとではあれ記憶していて、人数も正確に把握するようにしています。現在は「9人+未確認1人」です(ただし、ウクライナ軍が死亡したと発表した将官のうち2人は生きていたっぽくて、それが9人に入っているのかどうかは確認できていないです)。

対して佐官以下の死は数が多いため、特殊なケースは除いて、一人一人を把握するには至らず、数字も適当に把握していただけですが、また一人増えたようです。

アレクサンドル・ブリノフ中佐は3月に死亡説が出ていたのですが、遺体の確認はできておらず、ロシア側は死亡を否定していたため、カウントから外されていました。

先ごろ、その墓が確認されたため、時間差で死亡リストに正式参加。対独戦勝記念日のことでした。

以上、2022年5月9日付「Daily Mail」より。ここに出した写真も「Daily Mail」から、墓に出された遺影です。中佐なので、どういう人でどういう死に方だったのかまでは確認してません。

 

民間人殺害の裁判スタート

 

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戦時にはだいたいどこの軍、どこの政府、どこの国民でも。自軍に不利な情報は認めたがらず、知ろうともしないものであり、プーチン自身、今なお戦争の全貌を理解していないとの説もあります。このまま行くとロシア軍は全滅するってこともわかっていない。ただのバカですよ。

現実を見ようとしない程度には違いがあって、とくにロシアは検討もしないまま、都合の悪い事実は「フェイク」で済ませる傾向があります。

その典型がブチャ虐殺でした。住民の証言、ロシア軍支配の間の衛星写真や住民が撮った写真や動画などから、ロシア政府の「フェイク認定」こそがフェイクであり、ロシア政府こそがフェイク政府であることを明らかにしたのでした。

住民の証言だけでなく、捕虜になったロシア兵でも民間人殺害を告白しているのがいます。先日取り上げたチンギスもそうです。彼も裁判を受けることになるのだと思うのですが、民間人を殺害したロシア兵の裁判がすでに始まっています。

 

 

チンギスは追及されてゲロしたのではなく、自分から語ったのだと思うのですが、今回の戦争で特殊なのは、本人が否定しようとも映像の証拠が残っている事例が多数あるってことです。

 

 

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