松沢呉一のビバノン・ライフ

反戦運動家に「不潔な売春婦」との言葉を投げつけるプーチン支持派/法を読みもしないでセックスワークを違法と決めつける日本の道徳派-(松沢呉一)

 

サンクトペテルブルクで続くプロテスト

 

vivanon_sentence以下のドキュメンタリーをぜひ観てください。

 

 

舞台はロシアのサンクトペテルブルク。プラカードを手にして路上に立つことは難しくなっていて、深夜落書きをして回るくらいしかなくなってきていることがわかります。

それでも路上に立ち続ける不屈の反戦画家、エレナ・オシポワさんが登場します。警察は違法であることを伝えながらも連行はせず、「彼女だけは警察も黙認」というのは本当みたいです。象徴になったが故に、いざとなったらなんだってすると思いますが。

 

 

ロシアの反戦活動家に投げつけられる「不潔な売春婦」という罵倒

 

vivanon_sentenceここで私が注目したのは、いとこが徴兵されてウクライナに行ったことまではわかっていながら、以降、連絡が取れなくなった若い女性です。サンクトペテルブルクでは少ないにせよ、「戦争の損」をリアルに感じられる立場です。

彼女は、ニコライ1世とその妻を批判したことで10年間流刑されたウクライナの詩人タラス・シェフチェンコの銅像の前で白いバラを持って立ち続けます。ドイツの白バラ抵抗運動と重ねているのかもしれないですが、白いバラの意味はわかりませんでした。

プラカードがなくても、タラス・シェフチェンコの銅像の前に立ち続けることの意味はわかる人にはわかるようです。これだけでは警察も手出しはしないギリギリの表現。

しかし、プーチン支持・戦争支持と思われるイヤーな感じの女が近寄ってきて、写真を撮り始めます。公共の場での示威行為ですから、写真に撮られるのはやむを得ないとして、至近距離で撮るのは嫌がらせです。

白バラの彼女は「顔を撮るのはやめてください」と告げ、戦争に反対しているとも伝えると、女は彼女に「不潔な売春婦(テロップは「Dirty Bitch!」。ロシア語でなんと言っているのか聞き取れず)」という言葉を投げつけます。このあとさらに同様の言葉を繰り返しています。

強い表現があるとの注書きが冒頭に出ていますが、このことでしょう。

売春婦という言葉を罵倒語として使用することは問題ありですが、こういう罵倒語は常套句になっているため、すぐさまその発話者がセックスワーカーに対する差別意識を持っていると断定はできないかと思います。でも、たいてい差別意識を持っているでしょう。プーチン支持者であれば、同性愛者に対する差別意識もたいてい持ってます。

 

 

ヘイトデモへのカウンターと緊急アクションへのカウンター

 

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全体主義国家ロシアはウクライナに侵攻し、全体主義国家中国はウイグルで民族浄化—ここまでの補足や追記」に書いたように、今から1週間前の5月22日、新宿駅東口広場で行われた「AV業界に有利なAV新法に反対する緊急アクション」(以下、「緊急アクション」)とそれに対抗する「セックスワーカー差別集会への抗議行動0522」(以下、「カウンター」)の試合には、今から8年ほど前に、在特会を筆頭としたヘイトデモに対するカウンター活動に参加していた人たちが何人か来ていました。

 

 

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