松沢呉一のビバノン・ライフ

2年ぶりの「下-1グランプリ女相撲」は本当に嬉しくて感動した—優勝は八幡カオル-(松沢呉一)

 

2年ぶりの開催へ

 

vivanon_sentence一昨日は更新をお休みしましたが、これは要友紀子のことを書いていて、まとめられず、そうこうするうち出かけなければならなくなったためです。

夕方、阿佐ヶ谷北の天徳泉に入り、夜は阿佐ヶ谷ロフトAで「下-1グランプリ 女相撲」でした。下-1グランプリの女版であり、「下-1グランプリ」本編の出場権も得られる予選みたいなもん(本編は7月21日阿佐ヶ谷ロフトAです。予約受付中)。

コロナ禍によって2年間お休み。ひさびさだった分、まあまあの入りでしたが、元通りにはならず。よく言われるように、コロナ禍をほぼ抜けても、ほとんどのイベントが動員を落としています。

ロフトに来るような客には少ないでしょうけど、いまなお感染が怖い人もいるのでしょうし、リモート勤務になったまま、改めて外に出るのが億劫になった人もいるでしょう。収入が減ったり、失職したため、節約生活になっている人もいるでしょう。そういった事情はないのだけれど、ただただ出不精になった人もいそうです。

下-1の常連さんでは亡くなった人もいますが(コロナ死ではない)、皆さん、生き延びてよかった、よかった。

※天徳泉は7年ぶりくらいか。外観は特徴があるので覚えてましたが、1回しか入ったことがなかったので、中の記憶は皆無で新鮮でした。つねに人が入っていたので私は入れなかったですが、木製の水風呂がいい感じでした

 

 

にせぽよのブラッド芸の衝撃

 

vivanon_sentence内容は素晴らしくよくて、出場した全員を讃えたい。

8組のうち、常連と言っていいのが2組、常連とまでは言えないまでも1度でも出たことがあるのが1組、あとは初出場だったと思います。

人としてはお馴染みながら、出場するのは初のにせぽよブラッド芸が衝撃でした。ニコニコ笑いながらカミソリで腕をザクザク切ってました。あいつは恐ろしいやっちゃ。

昔々の話。それなりに知られる存在ですが、精神を病んだ女がいました。それと同棲していた彼氏がこんな話をしていました(知り合いですが、本人から聞いたのではなく、又聞き)。夜中に物音がして目が覚めます。なんだろうと思って起きると、彼女が机の前に座って、手をザクザクと切っていたそうです。彼女はその後自殺しました。

でも、「ザクザクと音がするわけはないよな」とにせぽよがザクザクしているのを見て思いました。

もともとメンヘラのリストカッターですから、手慣れたものではありますが、調子に乗って深く切りすぎたみたいで、血の塊がボタボタ落ちてました。ザクザクという音はしないですが、ボタボタという音は聞こえることがあるかもしれない。

※流血タトゥがあるのでわかりにくいですが、肘の内側が今回切ったキズ

 

 

優勝は八幡カオル

 

vivanon_sentence流血芸は衝撃度は高くても、また、ブラッド・マニアは一定数いるとしても、下-1では誰も求めていないようにも思われますし、なんのかんの言って、下-1でも、熟練の技みたいなものが強くて、優勝は下-1グランプリ本編でも不動の地位を築いている八幡カオルでした。コロナ禍のあとだけに、いつもと変わらない安定感が嬉しかった。

常連の一人である白玉あもスカトロ・フラペチーノもホントにくだらなくてよかったなあ。私が一番笑ったのは八幡カオルとともに白玉あもだったんじゃなかろうか。あれもあと10年続けると、人間国宝や重要文化財的なありがたみが出るものです。

初登場のすぐイクよ出るよイクよさんが会場前に「おひさしぶりです」と挨拶をしてきまして、「初対面じゃないんか」と思ったら、彼女はドルショック竹下でした。エロ突撃体験漫画みたいなものを描いていて、20年以上前に会ってます。見た目もノリも当時と今とそんなに変わらないので、すぐに思い出しました。

「その後、ヤリマンになりまして」

「当時からヤリマンじゃなかったっけ?」

「ヤリマンでしたけど、今は熟女ヤリマンです」

出し物も味わいがあって、若い男をラブホに連れ込んで、「今夜は朝までか」とワクワクしていたら、一回終わったところで、「用事がありまして」と逃げるように帰っていくという話に、熟女ヤリマンの悲哀を見ました。

ペーソスが散りばめられた熟女側からのエロ話は今までなかったかも。熟女なのにウブい処女みたいな斬新さ。乳首を出しているのに、若い娘のようにありがたがられたりもしないことがまた悲しくてよかったなあ。

すぐイクよ出るよは、もう6年やっているそうで、やっぱり何事も続けることが大事です。

※半年前に出た八幡カオルの第三写真集「半熟」 たぶんそのうちタコシェでも取り扱うと思います。

 

 

続けることで生まれる味わい

 

vivanon_sentence私はこの日初めて存在を知ったのですが、美広まりなさんのパフォーマンスの完成度が高いことにも感心しました。歌とトークで進行していくのですが、客のいじり方が上手で、曲もよかったんですよ。

 

 

 

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