松沢呉一のビバノン・ライフ

マスクを外したいのに外せない症候群—脱け毛増大は猛暑のせい? ワクチンのせい?-(松沢呉一)

 

 

外したいのにマスクを外せない人の告白

 

vivanon_sentence屋外では、暑さとともに、少しずつノーマスク(顎マスクを含む)にする人が増えていて、その流れで建物の中でもマスクをしない人を見かけるようになりました。駅の構内だったり、スーパーだったり。駅のホームや空いている電車の中でも見かけます。誰とも話さないんだったら、空いている電車の中だってノーマスクでいいでしょう。そういう判断が自分でできる人でありたい。

しかし、そういう判断をしている人はなお一部であって、家畜の牛までが熱中症で死んでいる時にも、屋外でマスクしている人の方が圧倒的に多い。好きにすればいいですけど、どういうことなのかなと。

そう思っていたら、そういう人の告白を電車の中で聞くことができました。

30代前半と思われる2人組がこんな会話をしていました。

「テレビで、熱中症でマスクは危険なのに、マスクを外せなくなった人たちがいるってやっているじゃないか」

「そういう人っているみたいだね」

「いるよ。オレだよ」

「エッ?」

「暑いので外したいんだよ。でも、できないんだよ」

「これから駅に着いて、家まで歩く間は外さない?」

「絶対に外さない。マンションのエレベーターでも外さない。家に足を踏み入れるまでは外さない」

「なんで?」

「わかんない。なんかいい説明の方法がないかと考えたんだよ。たとえば下半身すっぽんぽんになるとコロナに感染しないことがわかって、政府が“特例としてしばらくの間、下半身むき出しで外を歩いてもいい”と発表しても、なかなかできないだろ」

「まあな」

「それと同じ」

大変わかりやすくて、この説明には大いに感心しました。

※日曜日、新宿方面に暑そうな写真を撮りに行ったのですが、暑くはあったものの、小雨が降って曇り空だったため、真夏っぽい写真はあんまり撮れず。写真は新大久保。フラッペが人気でした。

 

 

カウンセリングが必要

 

vivanon_sentenceいい落ちだったのですが、会話はまだ続きました。

「そんなに恥ずかしいか」

「恥ずかしいってこともあるし、自分自身、不安ということもある。2年以上、マスクをしていれば安心と思ってきたので、マスクをしなくても大丈夫と言われると、マスクとともに生きてきた2年数ヶ月を否定されたような気がする」

「大げさだろ」

「大げさだとわかっているんだけど、これはどうしようもない。だから、今日行ったような個室になっている店でマスクを外して酒を飲んだり、料理を食べたりするのはいいんだけど、混み合っている居酒屋でマスクを外すのは抵抗があるので、できるだけ行かないようにしている」

「それは少しわかるけどさ。外回りの仕事だったら、ホントにお前は熱中症で倒れるよ」

「外回りに異動になったら会社を辞めるよ。それか、マスクを外しても不安にならないカウセリングを受けに行くよ」

「重症だな」

「言わないだけで、オレみたいな人間はけっこういると思うよ」

たしかに。マスクをしたまま熱中症になって救急車で運ばれる人がいっぱいいるわけで。

彼は外からの視線だけが理由ではないですが、外からの視線で言えば、マスクをしないことより、マスクをしないとこうも不安になることを晒す方が恥ずかしくないか? 晒している気ではないかもしれないけれど、。私を含めた何人かは聞いてます。何を恥ずかしいと思うかは人それぞれだし、酒が入っていたせいで鈍感になっていたってこともあるんだろうけど。

※あちこちに七夕の飾り付けがなされていて、子どもは夢があっていいですね。しかし、貧困家庭で、親が四苦八苦しているのだとすると切実です。

 

 

清掃の仕事は深夜がいいか、早朝がいいか

 

vivanon_sentenceこの会話は、先週金曜日、バイトに向かうために乗った電車で聞いたもので、だいたいのことを聞いたところで私は降りました。

この日も暑くて、やはり銭湯の客はいつもより多かったように思います。顔を見たことのない若いのが連れ立ってきているのが目立ちました。「暑いと銭湯あるいはサウナに行って水風呂に入るか冷水シャワーを浴びたくなる」との説がいよいよ信憑性を増してきました。

「ビバノン」を読んだのか(違うと思いますが)、数日前に「暑いと銭湯が混む説」を取り上げている番組があって、その番組では、銭湯の休憩所はエアコンが効いていて、漫画が読めたり、テレビが観られたりするので、家にいるより電気代が節約できるという解説をしてました。

でも、2時間かそこらの電気代より、銭湯代の方が高いですから、それだけでは説明できないと思います。

 

 

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