松沢呉一のビバノン・ライフ

なぜ女のアスリートの方が同性愛者であることを公言し、戦争批判をし、国外脱出するのか—ミュージシャンと共通する点としない点-(松沢呉一)

ロシアのブラックリストはくだらない。ウクライナのロシア音楽禁止法もくだらない」の続きです。

 

 

またスポーツ界から反逆者

 

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世界ランク12位、ロシア1位のテニス・プレイヤー、ダリア・カサトキナがインタビューで同性愛者であることをが認め、なおかつウクライナ戦争反対を表明。

以下は同性愛者であることを認めた部分を抜いたもの。

 

 

左はこのチャンネルをやっているブロガーらしい。

 

インタビュー公開とほとんど同時に彼女は以下の写真をInstagramやFacebookに公開。

 

 

相手はナタリア・ザビアコ。エストニア出身で、2014年以降、ロシア所属として活躍してきたフィギュアスケート選手です。ナタリア・ザビアコも同じ写真を公開しています。

同じくアスリートですから、職場恋愛みたいなものですが、テニスとスケートではまるで職場は別、オリンピックも別なのに、どこで知り合ったのかしらね。ゲイバーかな。

ふたりは現在スペインで生活をしていて、もうロシアに戻ることはないと覚悟している旨を語っています。

これに対して、先行しているサッカー選手のナデジダ・カルポワなど、世界各国のアスリートから礼賛と祝福の声が寄せられています。要友紀子が元セックスワーカーだと公表して、世界各国のセックスワーカーから礼賛と祝福の声が届いたようなものです(実際には国外では台湾から届いていたくらいかな)。

 

 

なぜ女のアスリートばかりなのか

 

vivanon_sentenceスポーツ界の反逆者は女ばっかりですね。軽く戦争反対をSNSで表示したのはいましたが、ロシア国外に出てはっきりと意思表示し続けているのは女のアスリートだけです。

オリンピックでも、同性愛者であることを公開している人のリストが作られたりしますが、これも女が圧倒的に多くて、東京オリンピックで言えば10対1で紅組の勝ちです。

なぜなのでしょうか。

スポーツの世界では、実力さえあれば、どこの国でも引き受けてくれそうですが、現実にどうかとは別に、本人の内面で「同性愛者だとわかるとスポンサーがつきにくくなると危惧する」ってことはあるかもしれない。

女より男の方がスポンサーの額が大きく、テレビCMに起用されることが多いため、男の方がカミングアウトすることへの抵抗が強くなる。

また、スポーツの世界では、多くの競技で、男は男らしさが求められ、「同性愛者はそこからの逸脱になると恐れる」ってこともあるかもしれないですが、プーチン批判や戦争反対の意思表示はそれとは関係ないでしょ。

とくにこれに限らず、政治的姿勢をはっきりさせるとスポンサーが嫌がるってことがあるんですかね。これも現実にそうである必要はなく、そう思えるってことですが。

※英語版Wikipediaの「List of LGBT Olympians」より、男女別のLGBTを公表しているオリンピック選手の表。左から女・男・ノンバイナリー(性別なし)・計。2012年以降はすべて紅組の勝利。

 

 

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