松沢呉一のビバノン・ライフ

ヨーロッパの酷暑と中国の「六月の雪」—人類の想像を超えて世界は終焉へ-(松沢呉一)

 

北アフリカでも熱波で人は死んでいる?

 

vivanon_sentenceメデューザに「北アフリカでも高温で人が死んでいるのか」という記事が出ていて、時間潰しの読み物としては面白かったな。

つまり、今年、ヨーロッパでは熱波で数万人が死ぬとされていますが、そもそもあの熱波は北アフリカから来ていて、「その地でも同じくらいの率で人が死んでいるのか」って疑問に答える内容です。「それほどは死なない」というのが答えです。

夏の最高気温が30度くらいの地域で35度になるとバッタバタと人が死にますが、例年35度になる地域で35度になってもそんなには死なない。

その例として東京が出てましたが、東京も暑いですが、どこにでもエアコンがあるので、そんなには死なない。でも、ほとんどの家庭にエアコンのない英国ではバッタバタと死ぬ。英国で40度超えはきっついと思います。

ナイジェリアやモロッコ、チュニジアなど、北アフリカの国ではエアコンの普及率が低くても、対処の仕方を知っているので、無理して炎天下のもとで長時間働いたりしない。また、身体に耐性ができていて、暑さに弱い人は淘汰されてきているため、国民全体暑さに強い。

そうは言っても、北アフリカでも例年以上に暑いので、人は死んでます。北アフリカでも山火事が頻発していて、これは慣れでどうにかなるものでもないでしょうし、暑いインドでもガンガン死んでますから、全世界的に気候変動で人は死んでます。

※「WORLD ECONOMIC FORUM」より、今年の熱波の影響を受ける地域を示す地球儀(元の図版はNASA地球観測所) おそらく単純に気温を色分けしているだけなので、例年との比較を見ないと、死者数を予測することはできないかと思いますが、北アフリカは暑いなあ。

 

 

気候変動で食い物がなくなる

 

vivanon_sentenceさすがにこの夏は、テレビも日本の、また、世界の気象がおかしくなっていることを積極的に取り上げています。

 

 

しかし、なおこれがCO2に関係しているとは言わないです。人為的なものであるとすると、責任が生ずるので、産業界への配慮、政府への忖度なんですかね。

ちょっと前までゲリラ豪雨は、冷房で空気が温まる都市部での現象とされていたはずなのに、もう関係がなくなってきています。しかも、今年は各地で雹。これが農地で起きると被害甚大。雹は都市部で引き受けたい。車が傷ついたりしますが、すったらもんは屋根のあるところに置けばいい。車より農作物が大事です。

食糧危機に備えて個人で食糧を備蓄する時代—食い物だけ備蓄しても生き残れない」で「食糧だけ家庭で備蓄しても意味ねえ」という話を書きました。それをさらに補足しておきます。

 

 

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