世界を襲う熱波・電力不足・経済停滞・食糧危機—夏を涼しくする情報-(松沢呉一)
中国四川省では「高温休暇」として工場の操業停止
日本では今も各地で豪雨が続いていますが、世界的には熱波と干ばつが深刻です。
今年の春、インドやパキスタンの各地で摂氏50度前後を記録し、「それらの地域ではこれが恒常化する可能性が高いとともに、世界を先取りしたに過ぎない」みたいなことが言われていたわけですけど、たしかにヨーロッパでも北米でも記録的熱波が続き、日本でも40度超えが頻発し、中国でも続々40度超えを記録しています。
重慶は48.6度、万州は46.9度を記録したようです。中国では外に出て働いている人たちが多く(露店とか)、自転車やバイク利用者も多い。エアコンがない家庭がいっぱいありますから、「熱中症に注意」の呼びかけが盛んになされています。正確な死者数はどうせ公表されないので、どうでもいいですが。
以下は8月14日の中国各地の最高気温。
2022年8月14日付「万州生活」
中国では「40度程度ではもはやベスト10にも入れない」と言われていますが、この日はベスト20にも入れない。
春にはいつものように洪水が起きていたというのに、今は各地で水不足が深刻で、高温と日照りによって農作物への影響がすでに出ています。
冷房で電力需要が増大しているため、停電が繰り返されている地域もあり、エアコンはもちろん扇風機も使えず、冷蔵庫も使えない。
そこで四川省では15日から20日まで「高温休暇」として、工場の操業を強制的に停止。40度を超えるとタイヤが劣化し、バッテリーが故障しやすくなるため、自動車も使わない方がいいらしい。んなこと言ったら、トラックの輸送も止まります。工場が操業しないからいいのか。
中国の経済停滞がいよいよ加速です。とくに中国はいまなおゼロコロナごっこをやっているせいですけど、世界中、どこも同じく気候が経済に大きく影響しつつあります。
ヨーロッパは絶望的な干ばつに
スイス、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダを通るライン川が干上がりつつあり、荷物を積載した輸送船が通れないため、それらの国々の物流が滞っています。 暑さで滞り、干ばつで滞り。場所によっては洪水で滞り。
こんなにヨーロッパで川を通る輸送船が重要だとは私はわかっていませんでした。
ライン川の水位が下がるのは、これまでにも繰り返し起きていたことです。対策をとろうにも有効な対策などない。気候変動は規模が大きすぎて、ひとつの国家で対応できるものではありません。すべては小手先の対応です。
そうこうするうちに、最悪の事態を迎えています。ライン川の水位がもっとも下がるのは9月なんだそうです。なのに8月にこれまでにない水位を記録。いつもより早く起きただけで、その分、早く元通りになればいいのですが、今年も9月がもっとも水位が下がる見込みのようです。
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