クリミアのパルチザン・ベラルーシのパルチザン・ロシア国内のパルチザン—少数民族の抵抗運動-(松沢呉一)
「クリミアのロシア軍施設の爆発は工作によるものとロシア国防軍が認定—何者による工作かはなお不明」の続きです。
クリミアの連続爆破の余韻
私はロシア兵じゃなくて本当によかったです。先日書いたクリミア半島での謎の連続爆発は、ウクライナ軍がなんらかの形で関与していることは間違いないとして、どういう方法でやったのかもわからない。わからないがゆえに、各国メディアは、この件を解明しようと躍起です。私もこのネタには食いつきましたぜ。
ロシア軍は現場検証によってある程度のことはわかっているとしても、公表されないので、末端の兵士はワケがわからず、戦々恐々としているでしょう。
米国なりなんなりから秘密裏に供与された武器説や、ウクライナ軍が開発した新兵器説よりも、ロシア軍内部に入り込んだウクライナ軍の特殊部隊やクリミアのパルチザンが仕掛けた爆発物説の方が可能性がありそうですが、一カ所ではないのが不気味。相当の人員が関わっていそうで、今後各地で爆発が繰り返されるのではないか。夜も眠れん。
その恐さを倍加させるような警告をウクライナ側が次々と出してきています。ゼレンスキー大統領は、クリミア他の被占領地域の住民に「ロシアの軍事施設に近寄らないように」と要請し、ウクライナ国防省傘下の情報総局が、「近々前線全域で非常に激しい出来事が生じる」と予告。
恐怖を高める意図があるので、まんま受け取らなくていいですが、次から次と今回のような攻撃を仕掛けてくるつもりかもしれないし、ここまでの爆破で総力を注ぎ込んだので、しばらくは動けないかもしれない。どっちじゃろといよいよ気になります。
※2022年8月17日付日本語版「ウクルインフォルム」 ゼレンスキー大統領の要請を取り上げた記事
ベラルーシのパルチザン活動は侮れない
ベラルーシの軍用空港での爆発については続報があまりないのですが、衛星写真が公開されており、レーダー、航空機、戦車などが破壊されているとのことです。これもクリミアの軍用空港同様、タバコの火の不始末ではあり得ない。
あれはベラルーシ国内のパルチザンの可能性があることを指摘しましたが、ウクライナ軍の広報官もベラルーシ国内のパルチザンによるものであることを示唆しています。
ベラルーシのパルチザンは、ロシア軍の輸送をストップするために、鉄道パルチザンを繰り返し実施していますから(おもに信号機の破壊)、飛行場に爆発物を仕掛けることくらいはやりそうです。
鉄道パルチザンは、三つの破壊工作で容疑者が逮捕されていて、死刑になるかもしれないと言われていて、そこまで覚悟してパルチザンをやっているのが多数いるのがベラルーシです。
ベラルーシがここに来て、ウクライナ戦に加わるのではないかとの説も出ていて、飛行場の爆破は、それを阻止するための行動か?
※2022年8月13日付「Lanka Times」より爆破されたベラルーシの空港の衛星写真。スリランカのメディアです。
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