松沢呉一のビバノン・ライフ

日本に避難したウクライナ人のうち、18歳未満の子どもと母親の率—日本のウクライナ人[3]-(松沢呉一)

受け入れる自治体・民間団体・親族・個人—日本のウクライナ人[2]」の続きです。

8月中に書いてあったものです。 

 

 

プーチンのせい、バカ野郎

 

vivanon_sentence「プーチンのせい、バカ野郎」という言葉がすべてを言い尽くしています。 人が殺されたのも建物が破壊されたのも全部プーチンのせい。 それに従うロシア人たちの問題でもありますが。

 

 

2′53″で、ナレーションが「多くのウクライナ人が海外に逃れ」と言ってます。 黒海経由で脱出した人はまずおらず、ほとんどすべては陸路です。 日本に来た人はどこかの段階で海を超えますが、その前に陸路で国外に出ています。 ポーランドに逃げた人は海を超えてないですから、「海外」はおかしいでしょう。

意味上、「海外=国外」ですけど、言葉の経緯からすると、この場合は「海外」ではなく、「国外」とすべきかと想います。 そう言い換えることに何の支障もない。 私も「海外」と書いてしまいそうになって、直したことが何度かあります。 もしかすっと直し忘れた箇所もあるかもしれない。

多くの人はウクライナに「海外」を使うのは不自然と気づいて直していると思われて、そんなには見ないですが、たまにウクライナに「海外」を使っている例を見ます。 気をつけたいものです。

それはいいとして。 音の付け方が感傷に流れ過ぎかと思いますが、それもいいとして。

マリーナ・アマウリさんをクローズアップすることで、いいバランスになっています。 長いドキュメンタリーで、日本に来たばかりの個人や夫婦、家族を取り上げると、ちょっととっつきが悪いんです。 よっぽどキャラが強かったりしないと、つかみどころがないと言いますか。

オルハ・ジュラベルさんはとっつきが悪いのですが、マリーナ・アマウリさんとの対比としては意味があります。

マリーナ・アマウリさんは両親が日本に来て、夫と子どももいて、妹だけは夫とウクライナに残りましたが、三代が揃っています。 両親は慣れない日本で不安があるにしても、日本に住み慣れている娘夫婦がいる分、安心です。

対してオルハ・ジュラベルさんは不安でいっぱい。 夫にも会いたい。 ウクライナ人の受れ入れに積極的な西濃運輸で働くこともできていますが、日本は居心地がいいわけではないとも言ってます。

当初、日本政府は身寄りのある人だけを受け入れようとしていたようです。 それは決して間違っていない。 身寄りがなくてもうまいことやっている人たちもいますけど、全体として頼れる人がいた方が不安は少ない。

8月24日現在1,783人中156人は身元保証人がいないまま入国した人たちです。 1割弱です。 圧倒的多数は身寄りがあります。

 

 

母子の組み合わせはどのくらいいるのか

 

vivanon_sentence身寄りのない人は1割もいないことは想像できる通りかと思います。では、オルハ・ジュラベルさんのように、18歳未満の子どもと母親の組み合わせで日本に避難してきた人たちは全体の何割くらいいると思います?

その数字を確認する前に、あといくつか動画を見てください。

大分県の場合。

 

 

 

 

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