松沢呉一のビバノン・ライフ

逮捕覚悟でロシアに帰ったOXXXYMIRON—違法に出国したウクライナ人の行方-(松沢呉一)

 

 

OXXXYMIRONはロシアに帰国

 

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昨日公表された反戦ラッパーOXXXYMIRONのひさびさの新譜です。

 

 

 

タイトルのOIDA(ОЙДА)はOi Da(オオ、イエス)のことかと思います。

OXXXYMIRONについては、「ビバノン」で何度も取り上げてますが、彼は国内でのコンサートができなくなり、国外に出て反戦コンサートをやっていましたが、このコンサートは春のうちだけで、その後音沙汰なし。

このPVはサンクトペテルブルクで撮られていて、曲の冒頭のニュース風のアナウンスで、「彼は政府を批判し続け、ブラックリストに入れられてロシア国内でのコンサートができないのに、どうしてロシアに戻ってきたのか」と語られていることから、「帰国したらしいぞ」と話題になってます。

この歌詞自体は、直接的な反戦ソングではないですが、それらしき言葉がちりばめられています。

OXXXYMIRONの曲はもっとも権力側から忌み嫌われていて、検察が裁判所に過激派認定しろとの要望を出していたりします。帰国すれば逮捕されかねない。なのにどうして。

たぶん彼なりの考えがあるのだろうし、自分が逮捕されたら、糞メディアも報じるしかないだろうとの計算があるかもしれない。しかし、彼の場合、罰金で済むとは思えず、実刑を食らいそうです。そんなことは百も承知で帰国。

マリーナ・オフシャンニコワさんもそうですが、逃げられるのに逃げない人たちがロシアにはいっぱいいます。思い切り讃えたい。

 

 

スポーツの国際大会に参加するだけでも「裏切り者」

 

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逃げられるのに国に留まる人たちの中には、「闘うため」だけでなく、「卑怯者と言われたくないため」という人がたぶんいます。

ワールドゲイムズに出るウクライナの相撲チームが、ウクライナでは練習ができず、初夏に日本に来ていたじゃないですか。

この動画の最後に語られている話が悲しすぎます。

 

 

相撲のためでも国外に出ると裏切り者扱い。カルッシュ・オーケストラユーロヴィジョンに出たのも裏切り行為か? あるいはユーロヴィジョンは国家的イベントであることが認知されているのに対して、相撲だと裏切りってことかもしれない。

女は正規で国外に出られるし、数が多いので、国に戻っても冷遇されることはないとして、男は正規で出たとしても、陰口くらいは言われそうです。日本に来ているウクライナ人の男たちは18歳未満の若年層と60歳以上の高齢層、病人、3人以上の子どもがいる父親、シングルファーザーです。

「逃げていい」と言い続けている私としては、こういう人たちと仲良くしたい。

なお、日本で練習していた相撲選手は全員メダルをゲットしたとのことです。よかったよかった。

 

 

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