黒人のメイド・コスプレにギョッとした—ハロウィーンの死・吊り橋からの死・洪水の死・戦争の死-(松沢呉一)

2022年11月01日 14時11分　
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タグ : トムとジェリー(Tom and Jerry) • ハロウィーン(Halloween) • 梨泰院

黒人のメイド・コスプレを見た

梨泰院の惨事があったせいで、ハロウィーンの日、東京では渋谷を避けた人たちがいたんじゃなかろうか。というのも、渋谷以外の場所で、ゾンビやサムライを見かけましたし、駅前広場はもちろん、住宅街の公園でも酒宴を開いているのを見かけました。

自宅から仮装していった人が多いですから、渋谷に向かう途中だったのかもしれないですが、私の前に、メイドの格好をした2人が歩いていました。メイドがもっとも簡単にできて、なおかつ理解されやすいコスプレでしょう。

それはいいとして、片方は太めの黒人のメイドなんですよ。これはまずいんじゃないか。古いアニメで、黒人のメイドばかりが登場するのは典型的ステロタイプとして批判されています。私はこういうものをすべてなきものにすればいいとは思っておらず、古い表現については注釈を入れてそのまま残せばいいと思ってますが、今の時代にわざわざ黒人メイドの仮装をするのはまずいですし、肌を黒くしているだけでも叩かれそうです。

そう思ったのですが、近づいたら、黒人じゃった。はっきりと確認はしてないですが、斜め後ろから見たところ、もう一人は白人のようでした。注意しなくてよかったです。

「黒人メイド」がステロタイプ表現であるのはよく知られていますから、わかっていてやっているのか、わざとやっているのではなかろうか。

中にはアホな人がいて、「黒人であっても、ステロタイプなイメージを強化することになるので差別への加担だ」と言いかねないですが、となると、「他の人たちはメイドのコスプレができるのに、黒人だけはできない」ってことになりますし、「他の人たちはメイドカフェで働けるのに、黒人だけは働けない」ということになります。

さらには黒人がスポーツ選手になるのは「黒人は運動能力が優れている」というステロタイプを強化し、黒人がダンサーになるのは「黒人はリズム感が優れている」というステロタイプを強化するので、まかりならんということにもなります。野球選手にもボクサーにもミュージシャンにもなってはならない。これぞ差別。

✳︎上の写真は昨日たまたま新大久保で見た梨泰院の文字

下は、2021年11月20日付「CBC KIDS NEWS」掲載「Disney Plus warning about racist scenes doesn’t go far enough, kids say」より、「トムとジェリー」の一シーン。この記事は古いアニメに見られるステロタイプな人種表現に対して、映画会社はDVD等に「本作品には歴史的な表現が含まれています」といった免責事項の注釈を入れていること対して、「それでは不十分であり、子どもは意味がわからない」との声が出ているという内容。どの表現がそれに該当するのかまでわかるようにすべきだと。

住宅街で騒ぐのはやめましょう

あるいは、渋谷に行ってから、人の少ない場所に移動したのかもしれないけれど、事故を避けるためには一箇所に集中しないのが賢明です。ただし、住宅街の公園は8時か9時までにしたいもの。けっこううるさかったですから。静かに飲めばいいわけですが、スパイダーマンやドラキュラの仮装をしていると気が大きくなりましょう。

原宿、池袋、上野、錦糸町、品川だと、駅のすぐ近くに酒宴を開けそうな公園があるので、分散する場所としては適切です。来年からはそうしましょう。