鉄道信号の破壊で学生4人が逮捕された—Stop the Wagons以外の鉄道戦争-(松沢呉一)
鉄道戦争で逮捕された学生たち
先日、鉄道戦争を仕掛けているロシアのパルチザン・グループ「Stop the Wagons」を取り上げましたが、昨日、「メデューザ」が出していた記事によると(BBCも報じてます)、バシコルトスタン共和国の首都であるウファで、学生2人が列車の通行妨害を図って信号の制御装置に放火したところをFSBに拘束され、彼らの仲間2人を加えた計4人が逮捕されたとのこと。彼らはこれまでに少なくとも5回の破壊工作を試みていました(それらが成功したのかどうかは不明)。
ウファ航空大学や内務省研究所(内務省管轄の大学らしい)などの学生ですが、タジキスタンとアゼルバイジャンの出身であり、出身がこの行動に関係しているかもしれない。
バシコルトスタン共和国もウファって市も私は認識していませんでしたが、ウファは人口112万人の大きな都市です。その市内で鉄道信号に放火。都市部だと警察がすぐに現場に駆けつけられ、目撃者が出やすく、通報もされやすい。現にそれで捕まっているので、場所の選択がミスです。例えば広島市(人口120万人)や仙台市(人口100万人)の市内で鉄道工作をやるのは無謀であることは容易に理解できます。
行動するには多過ぎず、少な過ぎないメンバーの数ですが、もう少し慎重さが欲しかった。
「Stop the Wagons」のTelegramアカウントでは、これについては何も言ってません。関係がないから何も言ってないのか、関係があるから何も言ってないのか不明です。
現在ロシアでは、人道的見地から(プッ)、死刑を実施していないのですが、この逮捕を契機に復活させる可能性もあると、元大統領兼首相のドミトリー・メドベージェフが言っています。法改正はすぐにはできず、あの4人は死刑ではないにしても、懲役10年を超えるのではなかろうか。早いところプーチンを倒して、恩赦で釈放されることを願います。
✳︎2022年11月2日「UFA 1」 「メデューザ」にも「BBC」にも出てませんでしたが、モザイクがかかってはいるものの、地元メディアに写真が出てました。
アナキスト・グループBOAKの鉄道戦争
「Stop the Wagons」とは別のパルチザングループも鉄道戦争をロシア国内で仕掛けています。「アナルコ・コミュニスト戦闘組織」(BOAK)です。共産主義系アナキスト・グループ。
WikipediaよりBOAKのロゴ
以前から存在していたグループらしいのですが、ベラルーシの鉄道戦争に強い影響を受けてロシア内パルチザン活動を開始。鉄道の破壊だけでなく、携帯電話の電波塔への放火、入隊事務所への放火、警察署への火炎瓶攻撃、Zマークをつけた車の破壊などをやっています。モスクワでZを描いた自動車に火炎瓶を投げたのは彼らか?
(残り 1093文字/全文: 2293文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ