松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシア軍はヘルソンから撤退—ロシア傀儡ヘルソン州政府の副知事が自殺か?-(松沢呉一)

 

ロシア軍はヘルソンから撤退とショイグ国防相が発表

 

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ここ最近そのような読みが出ていた通りにロシア軍はヘルソン市から撤退です。

ショイグ国防相の発表。

 

 

ロシア政府・ロシア軍の言うことはまるで信用できないですが、現地からの報告や衛星で確認できるでしょう。

彼らにしてみると、自国領土からの撤退ですから、これで一層プーチン批判は強まり、プーチンはショイグに責任を押し付け、政権内部の亀裂は修復不能なところまで至りそうです。それがいい結果をもたらすかどうかはなお不確定ではありますが、とりあえず「ざまあ」。

 

 

ロシア傀儡州政府の副知事が死亡

 

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この撤退と関係があるのかどうかはっきりしないですが、ヘルソンで親ロシア派の政治家としてロシア軍と協力してきたキリル・ストレモウソフが昨日(9日)自動車事故で死亡しています。

どういう状況で死んだのかもよくわからないのですが、この人の生き方を振り返ると、用無しとなったためにロシア軍に殺されたようでもあり、ヘルソンを奪還しつつあるウクライナ軍に殺されたようでもあり、以前から目をつけていたパルチザンが混乱に乗じて暗殺したようでもあり、どこにも居場所がなくなって自殺したようでもあります。

この人は頭がおかしいです。政治に足を踏み入れる前はオカルティズムに傾倒しつつ、ロシアニズムにも傾倒。

2017年、警察官に対する暴行事件を起こし、同年、YouTubeに、生まれてから4ヶ月の自分の娘の足を持って振り回す動画を出して世界中から叩かれています。本人は赤ん坊が喜んでいると言っているらしいのですが、泣き声らしき声が聞こえます(フルヴァージョンは削除されていて、現在YouTubeでは一部のコピーしか出ていませんが、全編が「THE IRISH SUN」のサイトに残ってます)。

その後も発砲事件を起こすなどの問題行動を続け、2018年、ウクライナ社会党ヘルソン支部の代表になりますが、短期間で追放されています(ウクライナ社会党は親露派弱小政党で、今年解党しています)。

コロナ禍では、ウイルスをウクライナ当局がばらまいたと主張。疑いのない陰謀論。

✳︎2017年9月21日付「india.com」 

 

 

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