銭湯が大好きな子どもと銭湯が大好きな父親と風呂が嫌いな母親と—風呂と離婚-(松沢呉一)
意外に多いシングルファーザーの子どもと意外に少ない外国人の子ども
小学5年生とダベりました。ヘビマップを作っている頃は頻繁に小学生と遊んでましたが、あれが終わって以降はめっきり機会がなくなってます。今回話したのは知人の娘ですが、個人が特定されると支障が出るかもしれない内容が含まれるので、誰の子どもかは秘密。
全然物怖じしない子で、こちらの質問に的確に答えてくれ、小学生と話している気がしませんでした。ほとんど対等。見た目は実際より幼くも見えますが、中身は大人。
髪の毛の一部を染めていて、学校ではなんの問題もないとのことですが、染めているのは学年で1人か2人程度しかいないそうです。自分の判断でこれができるだけでもたいしたもん。
私が一番驚いたのは、クラス30人のうち、シングルファーザーとシングルマザーの子どもを合わせて8人もいるってことでした。しかも、シングルマザーよりシングルファーザーの方が多いんだそうです。シングルファーザー5人とシングルマザー3人ということかな。
たまたまにしても、シングルファーザーがそうもいるのは驚きでした。シングルマザーとシングルファーザーの比率は9対1、あるいはそれ以上差があるのだと思ってました。
これとは逆に意外に少ないのは外国人の子どもです。クラスにベトナム人が1人いるだけだそうです。地域によって大きく違っていて、江戸川区、江東区はけっこういるはず。インド人はインド人用の学校があるので、企業勤務の人たちの子どもはそっちに行くのが多いですが、日本に完全定着の人の子どもだと、日本の公立小学校に通ってます。欧米の人たちも同じで、ビジネスマンたちは港区、目黒区、渋谷区の高いマンションに住んで、子どもはアメリカンスクールに通っていたりします。
新大久保があるので、新宿区も多いのですが、杉並区、中野区、豊島区、世田谷区だとそう多くはなくて、アジア系の店で働いている人たちやそういう店を経営している人たちは、職場と離れた都下に住んでいるのが多いそうです。家賃が安くて環境の良いところ。渋谷や新宿のインド料理をやっているインド人でも、インド人が多く住む団地のある江戸川区に住んでいて、池袋で働いている人たちだと埼玉県の川口あたりに住んでいそう。
✳︎北千住のタカラ湯
風呂好きの父娘
なんて話が面白かったのですが、その子は銭湯が好きで、銭湯の話が一番盛り上がりました。
父ちゃんが「この人は都内の銭湯全部に行っているんだよ」と紹介してくれて、彼女も興味津々。
「じゃあ、大黒湯やタカラ湯にも来ましたか?」
「タカラ湯はそんなに多くないかもしれないけど、大黒湯はいろんなところにあるから、それだけだとわからないよ」
「北千住です」
「大黒湯は潰れたよね」
「そうなんです。すごく大きくて立派な銭湯だったんですけどね」
「北千住だと、駅からちょっと離れた商店街の中にもあるよね」
「大門のところですよね」
「そうそう」
大門は千住遊廓の大門のことです。
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