松沢呉一のビバノン・ライフ

ドイツのクーデター計画にちらつくロシアの影—ロシア領内の軍事空港などにドローン攻撃が続く-(松沢呉一)

 

ドイツでクーデター計画

 

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ついさっき「メデューザ」で報じられていたニュースを見て驚いたのですが、本日、ドイツでクーデターを計画していたグループ25名が逮捕されました。

 

 

 

まだ捜査が続いていて、さらに27人の容疑者が国内外にいるとのことです。

どこまで拡大するかわからないですが、中心人物はロイス家のハインリヒ13世(Heinrich XIII P. R)。今はさして力はないですが、かつてテューリンゲン州を統治していた一族の末裔。それと、ドイツ軍特殊部隊の元司令官のリューディガー・フォン・P(Ruediger v. P.)という人物。この2人はドイツの報道規定でフルネームは公表されていません。

これにAfDの元議員であり、現裁判官のブリジット・マルザック・ウィンケルマン(元議員、あるいは現裁判官ということか、これはフルネーム)や現役のドイツ軍兵士が加わっていました。

すでに一部は武装しており、国会議事堂を占拠し、国会議員を人質に取る計画が進んでいて、成功するとは思えないですが、政権樹立の際の組閣人事まで話し合われていたようです。

彼らはライヒスビュルガー運動でつながっていました。日本語では帝国市民運動。帝国の復活を目指す運動であり、一部ネオナチもいるようですが、ナチスに批判的な人も多く、原則としてヴァイマル憲法支持ですから、この点では民主的。右派に偏りはありつつ、この運動は幅が広く、参加者は1万人から2万人(はっきりとした組織ではなく、会員というわけではないよう)。

今回のクーデターは、その中で極右に近い人たちのように見え、Qアノン支持者の集まりでもあります。

注目すべきは、この中でも語られているように、彼らは親ロシア派で、ロシア政府とコンタクトをとっていて、逮捕者の中にいたロシア人はその仲介役だったようです。右派とロシアがどこでどうつながるのわかかりにくいのですが、つなげているのは陰謀論です。数日前に出した「プーチンを支持するドイツ人には極右(≒ネオナチ)に偏りがある—ドイツ人は陰謀論に弱い?」を読むとわかりやすくなるかも。

 

 

ロシア領内への攻撃が本格化

 

vivanon_sentenceしばらくウクライナ戦争から離れていましたが、その間に重要なことが次々と起きています。

以前からロシア国内で軍事施設や準軍事施設の火災や爆発が相次いでいました。ウクライナは長距離ミサイルを供与されていないため、国境から離れたところでの火災や爆発は、人為的なものではなく、ただの事故か、国内抵抗勢力による工作が疑えて、国境近くのものはウクライナ軍による可能性が高かったのですけど、ここ数日、距離があるにもかかわらず、ウクライナ軍がやったとしか思えないドローンによる攻撃が連続しています。

11月5日、サラトフリャザンの飛行場をドローンが攻撃、6日はクルスクの燃料貯蔵庫とクリミアの飛行場をドローンが攻撃。

 

 

 

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