松沢呉一のビバノン・ライフ

政府と個人は別とは言い切れないことがある—ロシアを脱出したTVレインがまたも存続の危機[3] -(松沢呉一)

ロシア語話者しか相手にしてなかったTVレイン—ロシアを脱出したTVレインがまたも存続の危機[2] 」の続きです。

 

 

トビリシ・ストリート

 

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ロシア人にインタビューしてみた」と同様のものとして「モスクワ・ストリート 」というチャンネルがあります。「ロシア人にインタビューしてみた」の日本語版は今年になってからですが、英語版は2019年の8月にスタートしています。最初のテーマは「LGBTについてどう思うか」です。「モスクワ・ストリート」は。2020年7月にスタートです。こちらもテーマは「LGBTについてどう思うか」です。ロシア語じゃなければ捕まりにくいとは言え、先日の法改正で、どっちも逮捕されかねない。

「モスクワ・ストリート」はあんまり観てないですが、以下の回はジョージアで撮られたものだったので、クリックしました。

 

 

 

 

ロシア人が大量に移入してきたことに対するジョージア人の受け取り方はさまざまであることがよくわかる内容でした。

政府は「税収が増えて嬉しい」、メーカーや小売店は「物が売れて嬉しい」、家主は「家賃収入が増えて嬉しい」ってことですが、さすがにストレートにそう言っている人はいません。しかし、少数ではあれ、無条件に「ウェルカム」の人たちもいて、何かしらの利益を得ている人たち、少なくとも物価や家賃の急上昇、連日の渋滞と無関係な人たちじゃないか勘ぐります。

また、ジョージアにはロシア系が多数いますから、トビリシでこれだけの人数に声をかけると、その中に間違いなくロシア系が入ってきます。そういう人たちが歓迎しているんじゃなかろうか。

ジョージアの人たちにはロシア読みの「グルジア」を嫌うのがいますが、この中に「グルジア」と言っているのがいて(テロップは「ジョージア」)、ロシア語で話しているようです。ロシア系でしょう。この人は誰でも鷹揚に受け入れると言ってますが、そうしないと自分の立場がなくなります。ただし、彼は「法律には従わなければいけない」と言っています。それに反したのがTVレインでした。

 

 

ウクライナの次はジョージア

 

vivanon_sentence人によっては「ジョージアに逃げてきたロシア人たちは反プーチン」と思っていて、別の人は「戦争に行きたくないだけ」と思っています。実際のところどうなのかわからないですが、「プーチン支持、戦争支持、しかし、自分は戦争に行きたくない」というロシア人もいくらかはいそうです。

原則として歓迎しながら、「ここはロシアじゃないんだから、私たちにもっと気を使わないとダメだ」と言っている人もいます。頭では受け入れたくても、ロシア人たちでかたまって、ロシア語しか話さない様子を見るとうんざりするのでありましょう。トビリシ中をロシア語がとびかっていて、南オセチアをロシアに占領されたことと重なってしまう。その不快感を意識できないロシア人が多いようです。

ここには出ていないですが、中にはジョージア人を蔑むような態度をとるロシア人たちもいるらしい。

以下は3週間前に公開されていたものです。

 

 

 

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