松沢呉一のビバノン・ライフ

角田由紀子弁護士の発言にすぐさま抗議する団体が出てきて本当によかった—Colabo✖️暇空茜[傍流編1]-(松沢呉一)-[無料記事]

 

驚きの連続

 

vivanon_sentence数日前にYouTubeを観ていたら、関連動画に以下が表示され、何だろうと思ってクリックしましたさ。

 

 

うわー。うわー。うわー。「うわー」がひとつじゃ、私の反応は表現できない。みっつでも足りない。

私の頭は3割ウクライナ、3割ロシア、3割イランに占められていて、残りの1割を他で分け合っているため、こんな話が盛り上がっているとは全然知らなんだ。面識のある人が亡くなったことを半年遅れ、1年遅れで知るのが当たり前になっている私としては、出遅れたとは言え、現在進行中のColabo問題にここで気づいたのは上出来です。この周辺の動画をチェックしていない私のところにまで表示されるくらいに注目されているってことです。

動画を1本観ただけではとうてい判断できないので、ここ数日、関連のものを読んだり、観たりしてました。細部はともかく、だいたいのことはわかりました。

つっても、わかっただいたいのことは、すでに多くの人が言及しているので、重ねて指摘する意味はないと判断しています。私としては、まだ誰もこの流れでは触れていないのではないかと思える点や、他の人が指摘済みでもどうしても触れておきたいことだけ書いておきます。そんなにはないので、すぐに終わると思います。

 

 

角田由紀子弁護士の発言に呆れ返った

 

vivanon_sentenceご覧になっている方も多いかと思いますが、観てない方は角田由紀子弁護士の話(22′30″〜)だけでも観てください。

 

 

発言の冒頭でこう言っておられます。

 

角田です。私もこの話を聞いて、最初はなんのことかよくわからなかったんです。つまり、私、SNSとかそういう世界と無縁な人間で、まったく知らなかったんですけども、仁藤さんから話を聞いて、そしてそのあと、今太田さんが説明しましたように、非常に詳しく誹謗中傷の内容を分析しているのを見してもらったんですね。そして見て本当にあの、ビックリして呆れたということなんです。でも、呆れてばっかりもいられないので(笑)、ただ、あの、怒りはものすごく、久しぶりにこんなに私、怒りを覚えたことはないというくらい怒っています。それで、今太田さんがですね、説明の中で、これをやっている人はね、娯楽のようにしているんじゃないかと、自分自身がね、そういうことを言われたでしょ。それを聞いて私はふと思い当たったんですけど、アダルトビデオというのはですね、まさに女性を性的に虐待してですね、そのことを娯楽にしている類のものなんですね。なんか私、そこに共通点があるんじゃないかなと思いました。それから、これはもちろん表面的には、えー、Colaboと仁藤さん、攻撃しているものなんですけど、でも、やっていることはですね、それに留まらないと。それ以上のことを狙っているんだろうと思います。今太田さんも言われましたけれども、女性差別に対して声を挙げる女は許さないというのが一番その中心的なメッセージじゃないかと私は思っているんですね。そして、これからcolaboに繋がりたい人とか、あるいはcolaboの支援を待っている若い女の人たちに対する非常に直接的な攻撃であるというふうに私は思います。そして、これ、ですからね、女性に対する暴力そのものなんです。

(略)

 

 

多くの人が感じたようですが、なんでAV? 不正会計疑惑(不正請求疑惑、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律違反疑惑、公職選挙法違反疑惑など)から論点をずらすための印象操作をしたいのでしょうけど、なんも関係ないべ。「個人が感じたことを述べただけ」ということなのかもしれないですが、訴訟を起こした旨の記者会見で言うことか? 「お腹が空いたので、このあとラーメンを食べに行きます」と言い出すのと同じで、ここで発言する意味がない上に、「ラーメンというのはですね、まさに女性を虐待してスープを作っているんですね」と語るのと同じでラーメン関係者への誹謗中傷です。

一部にそういうラーメン屋があるかもしれないけれど、すべてがそうであるかのように断定するのはふざけるにも程がありましょう。こんなデタラメな姿勢で取り組まれている裁判であることは十分に理解しました。

 

 

角田由紀子弁護士の発言に抗議した団体に感激

 

vivanon_sentenceこれに対して、一般社団法人sienteからの抗議がありました。

 

コラボ弁護団記者会見時における発言に対する抗議の声明

一般社団法人siente代表理事
中山美里

私たちsienteは、性の娯楽やサービス産業に関わる仕事を選んだ人たちが、職業差別による心理的な負担や生きづらさなどを解消し、偏見のない社会を作るため一助を担いたいと活動する団体です。

令和4年11月29日に行われた「Colaboとその代表仁藤夢乃に対する深刻な妨害に関する提訴記者会見」において、弁護団の角田由紀子氏が「アダルトビデオっていうはですね、まさに女性を性的に虐待してですね、そのことを娯楽にしてる類のものなんですね」と発言とされたことに対し抗議します。

角田氏がアダルトビデオと幅広く表現されているアダルトビデオ業界の中には、現在、適正AVという厳しい自主規制ルールに則った運用を行なっている業態があります。

適正AV業界では、出演者の意思決定を尊重し、人権を保護する自主規制ルールを敷いており、作品の表現内容においても出演者が納得した上で出演し、台本のある中で表現活動を行なっているにすぎません。そのため、「女性を性的に虐待し、それを娯楽にしている」という発言は、適正AV業界に関しては事実と異なり、出演者、制作者、視聴者を傷つける中傷発言であり、非常に遺憾です。

また、このような発言を公的に配信することにより、適正AV業界で働く人たちに対するスティグマが植え付けられてしまいます。AV女優の仕事は、性的虐待を受けることではありません。

角田氏の発言は、適正AV業界で働くことを選択した女性の意思決定を踏みにじるものであり、厳重に抗議するものであります。

【連絡・問い合わせ先】
取材などのお問い合わせは、ホームページのお問い合わせ先フォームからお願いいたします。

 

 

以前だったらSWASHがやるところですが、AVに特化した団体が登場したおかげで、そっち方面はお任せできます。これ自体に私は感激しています。

SWASHも、活動単位で厚労省や地方公共団体から金が出ていることもありますが、恒常的に出ているわけではありませんし、金額は最大で数十万単位だろうと思います。あとは多くの場合、持ち出しです。税金を原資とする潤沢な資金を使える団体とは違います。

その一つの団体がすべてを拾い上げることは不可能。セックスワーク関連はジャンルによって事情が違います。関わる法律も違います。とくにAVは不特定多数に向けた表現という側面がありますので、より複雑です。その業種に詳しい団体があった方がいい。

ストリッパー・フロアダンサー・ショーダンサーのようなダンス系セックスワーカーも独自の事情がありそうなので(私も全然詳しくないですが、風営法上の分類が性風俗とは別)、団体があった方がいいかもしれないですね。

続きます

 

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