松沢呉一のビバノン・ライフ

急速に国民の戦争支持率が落ちて、プーチンは弱気になってきた?—地方議員たちの反乱・内部調査がダダ漏れ・連続する火災-(松沢呉一)

 

「ロシア人にインタビューしてみました」に驚嘆すべきおばちゃん登場

 

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ロシア人にインタビューしてみました」を頻繁に取り上げていますが、この回は感銘を受けました。最後に出てくるおばちゃんです。

 

 

—核の使用についての発言が飛び交うことに、どう感じますか?

「ちゃんとした言葉じゃなきゃ、ダメ? 罵ってもいい?」

—ええ、構いませんよ。

「核戦争が避けられるわけが、ないわ。それで、この●●●●が死ぬのよ」

—誰がですか?

「誰がとかはいいのよ。重要なのは●●●●ってことよ」

—プーチンは、ただ、脅しで言っているのでは?

「間違いなく、そうでしょうね。プーチンがこの緊張を生んでいるのよ。彼は、いつも嘘をついているわ。知っているでしょう? プーチンに何を期待できるの? プーチンは、自分のことが好きすぎて、大変よ」

—なぜ、そんなことをすると思いますか

「それは、人に、万能な支配者と思わせたいからよ。でも、プーチン自身では、これ以上、どうしようもなくなっていて、ヴェネズエラに逃げる準備をしているとか。私はこの一連の事についてよく分かっているわ ええ、きっとあなたと同じくらいにね。

 

このくらいの歳の人はいいとして、翻訳では若い女でも女言葉なのはどうなんかといつも思います。文字だけだと性別がわからず、とくに発言者が複数の場合は混乱しやすい。それを避けるには女言葉は便利ですが、見た目と声でわかるんだから、わざわざ女言葉にする意味なし。

それはいいとして、伏字部分は「プーチン」だと思われます。3箇所ともそうなのかどうかわからんですけど、「プーチンは自己愛が肥大して、嘘をついて自分を万能と見せたがり、果ては核で脅して最後は死ぬ」と言ってます。「ロシア人にインタビューしてみた」シリーズで、もっとも辛辣な一人です。

しかも、べネズエラへの逃亡計画のことまで知ってます。VPNを通して西側の報道をチェックしているのでしょう。あの情報はどこまで信じていいのかわからないですが、実現性はともかく、また、プーチン自身が命じたかどうかはともかく、もうプーチン政権が長くないことを察知した取り巻きがその可能性を調べているのは事実のように思います。

ロシアで「ノアの方舟」計画のことを知っている人は数パーセントしかいないのではなかろうか。たいていは若い世代であって、あの歳でそこまで情報収集しているのは素晴らしい。子どもや孫に教えてもらっているのかもしれないけど、だとしても、ここまで堂々と語れることに感服しました。

ことによると、こういう人たちが増えてきているのかも。

 

 

地方議会議員たちの反乱

 

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プーチンが記者会見で「戦争を早く終わらせたい」と発言し、それに対してサンクトペテルブルクの区議たちが「プーチンは軍の名誉を傷つけた」との声明を出した件はいよいよ動揺が広がっていることを感じさせます。

 

 

 

「訴えた」という表現は「訴訟を起こした」という意味だと誤解されそうですが、声明を出したという意味だと思います。

 

 

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