松沢呉一のビバノン・ライフ

角田由紀子弁護士は「ぱっぷす」の前身であるAPP研の共同代表だった—Colabo✖️暇空茜[傍流編2]-(松沢呉一)-[無料記事]

角田由紀子弁護士の発言にすぐさま抗議する団体が出てきて本当によかった—Colabo×暇空茜[傍流編1]」の続きです。

 

 

Colaboとその弁護団の空疎な主張

 

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Colaboの不正会計疑惑については、「判断ができない」と感じている人が多いようです。判断できない人は黙っていればいいと思います。人間関係や支持政党で拙速に立場表明してしまうと、撤回が難しくなります。どちらの言い分も検討してから立場を決定すればいいでしょう。どこまでも決定できなければどこまでも黙っとけ。

Colaboの件は問題がどんどん拡大して、全体を把握することが難しくなっています。わかるところだけ言及すればいいんじゃないでしょうか。私もそうしています。Colabo側にはツッコミがいのある人材が豊富ですから、誰かに絞って調べていくのも良さそうです。私は全然知らなかった人物ですが、中川卓弁護士への注目が高まっているようですね。狙いどころ。

今回も埋め込んでおきますが、この記者会見から1ヶ月近く経つ今になって観ると、Colaboとその弁護団が言っていることにいかに空疎かよくわかりますので、観ている人も改めて観るといいですよ。

 

 

疑惑はどんどん深まり、拡大もしているのに、この段階ではColaboの会計にはなんら問題がないようなことを言い、批判する側がデマと決めつけています。

あそこまで言う以上、弁護団は帳簿をチェックしているのでしょう。帳簿をチェックして潔白だと確認しているのであれば、「帳簿を公開しましょう」とColaboに働きかければいい。法的に義務がないとしても、それをやれば問題はあっさり解決であり、Colaboを批判する人たちのデマが確定です。だったらやればいいじゃないですか。

帳簿のチェックすらやらずに、「問題ない。批判はデマだ」と言ったのだとすると、どんだけ無責任な集団か。この人たちの責任はとことん追及されるべきです。

といった話はさまざまな人が指摘していますから、すっ飛ばすとして、今回も角田由紀子弁護士とその所属団体について。

角田由紀子弁護士は自分で言っていたように、SNSについてはまったくわかっていない。おそらくYouTubeのこともよくわかっていない。自分の目で確認したのであれば、もうちょっとマシなことを言うはずですから、レクチャーを受けただけで、あの記者会見に臨んだのだと思われます。何が起きているのかもわかってないので、言っていることに意味がないのだと思うしかない。

なんでこんな人が弁護団の筆頭になっているのか不思議ですけど、年功序列ってことでしょう。それと、あの辺の人たちの間では知名度がありますし、私も著書は読んでます。内容はほとんど覚えてないですが。

お飾りとして欲しかったんじゃないですか。だったら、名前だけお借りして、発言をさせなければよかったのに、発言させてしまったがために、つっこみどころを増やしたお飾りでした。

 

 

弁護士が守秘義務違反で慰謝料を請求された事例

 

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以下の判決文をお読みください。

 

 

この内容を簡単にまとめます。

この裁判の原告になった女性(以下原告)は、当時、職場でのセクハラで、2人の弁護士に相談していたのですが、その対応に疑問を抱いていたため、趣旨違いではありながら、「寄せられた情報に関しては,守秘義務を固く守ります」と記載されていたポルノ・買春問題研究会」(APP研)のサイトにあった相談フォームに書き込み、同会の共同代表である弁護士(以下被告)が相手をします。

被告は、このことを原告が相談していた弁護士に伝えます。

これに気づいた原告は被告に問い合わせたところ、被告は情報を漏らしていたことを認めて謝罪しますが、弁護士として依頼を受けてないので、守秘義務違反にならないと言います。

原告は被告に損害賠償を要求しますが、被告は守秘義務違反ではないとして拒否し、原告は民事訴訟を起こします。

被告は「弁護士としての依頼は受けていない」という理由ともに「APP研の相談フォームに書かれた守秘義務はポルノグラフィ被害に関 する情報についてであり、原告の相談はそれに該当しない」旨を主張。

大阪地方裁判所は原告の主張を認めて、20万円の支払いを命じました。

被告は控訴し、控訴審では逆転判決が出て、一審判決は棄却されてしまいます。

この判決は本当にひどい。被告もひどい。APP研もひどい。

なお、この件について私がよく知っているのは、私が書いたことに間違いがあったので、原告が連絡をくれたためです。高裁判決が出る前だったと思いますが、相当にまいっている様子でした。

 

 

ズブズブ

 

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一審の判決文に書かれているように、相談する側からすると、守秘義務は相談一般に生ずると思うのは当たり前じゃないですか、しかし、APP研はそう考えてなかったのです。セクハラについての相談は趣旨違いであり、その内容を外に漏らしてもいい。また、弁護士への依頼を受諾していないので、弁護士の倫理にも法にも縛られないという方針です。だったら、サイトにそう書かなきゃわかんないですよ。

現に原告は不利益を受けて精神的苦痛も受けたと言っているんですから、一審判決に従って20万円くらい払えばいいじゃないですか。しかし、市井の個人に対して、弁護団を作って全面対決ですよ。どっかで聞いたような話ですね。

統一協会の件で引っ張りだこの紀藤正樹弁護士も高裁判決が出たあと、こう言ってました

 

この事件、高裁で逆転判決が出されました。

ただ結論はどうあれ、紛争となったことは、サイトを運営する弁護士として考えさせられる問題ですし、法的責任の点はおいても、何らかの慰謝の努力は必要だろうと思います。

 

私もそう思います。しかし、被告は原告を慰謝することより、弁護士のプライドを優先したとしか思えない。

この事実自体を知られたくなかったようで。「ポルノ・買春問題研究会」のサイトからは共同代表の名前が消えてました。間違ったことをしていないのであれば、堂々としていればいいのにさ。

「消せ」と言ってきかねないので、この裁判の被告が誰であるかは書かないですが、APP研の共同代表の一人が角田由紀子弁護士でした。被告はもう一人の代表かもしれないですから、角田由紀子弁護士だと決めつけないように(追記参照)。この件がきっかけなのか、角田由紀子弁護士は共同代表ではなくなって、この団体がポルノ被害と性暴力を考える会」となり、その略称である「パップス(ばっぷす)」が現在の正式名称になってます。

現副理事長の中里見博はAPP研からのメンバー。北原みのりは理事。ズブズブな人脈。

ぱっぷすについては暇空茜が動画をまとめていますので、参照してください。

 

 

追記:この裁判のことはWikipediaに出ちょった。

2002年8月にAPP研のホームページを介してセクハラ被害を相談した女性が、当時依頼していた担当弁護士にメール内容を漏洩されたとして、2006年、角田由紀子代表(当時)に対して守秘義務違反による慰謝料を請求する訴えを起こした。これにより角田は代表を辞任。なお、一審では原告が勝訴したが、控訴審では原告の訴えが棄却された

続きます

 

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