松沢呉一のビバノン・ライフ

なぜColabo陣営の言葉は共産党支持者以外に届かないのか—Colabo✖️暇空茜[傍流編13]-(松沢呉一)-[無料記事]

「住民監査請求監査結果」の読み方と住民訴訟の効果—Colabo×暇空茜[傍流編12]」の続きです。

 

 

Colabo陣営に学ぶ「やってはならないこと」

 

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Colabo陣営は数字でも共産党と強いつながりがあることが明らかになってしまったわけですが、どうして自分らの意見が共産党支持者以外にはめったに受け入れられないのか、一度彼らは真剣に考えた方がいいんじゃなかろうか。そんなことができるんだったら、こうはなっていないわけですが、私自身もそうなりかねない自覚はありますので(ほんの少しだけ)、反面教師として考えておきたい。

女性支援団体Colaboの炎上分析の筆者である鳥海不二夫東京大学大学院工学系研究科教授も書いていたように、Colabo擁護者たちの中には反Colaboクラスタをネトウヨだと認識している人がよくいます。あるいはオタクだとか、反フェミニズムだとか。

公的支援を頼りにせずに同様の活動をしているNPOの理事長からも批判が出ていて、Colaboのシェアハウスにいた女性からも告発が出てますし、東京都の監査委員からも厳しい意見が出ましたが、あれらはネトウヨ? オタク? 反フェミニズム?

私は反糞系フェミですけど、さんざん「ビバノン」に書いてきたように、与謝野晶子派のフェミニズム礼賛です(一例として「与謝野晶子の男女平等論—平塚らいてうの優生思想[付録編 2]」)。その立場から「今回の騒動をどう見るか」についてはそのうち改めてやります。

「敵はこういう人たちであって欲しい」という願望と現実は違うってところから始めるとよろしいかと。

数字を見ると、反ColaboクラスタはColabo擁護者たちのような狭い狭い特定層で構成されているのではありません。なにしろ反ColaboクラスタはColabo擁護クラスタの10倍以上いるのですから。

 

 

鳥海不二夫「女性支援団体Colaboの炎上分析」より

大きな塊が反Colaboクラスタのネットワーク、小さな塊がColabo擁護クラスタのネットワークを示す

 

 

「なぜこうも差が出てしまったのか」の答えはそんなに難しくなくて、多くの納税者は税金の無駄遣いが嫌いだからです。「文春オンライン」の調査で、安倍晋三の国葬に賛成が16.7%、「反対」が79.7%だったことを思い出しましょう。とくにこの調査では反対の数字が高いですが、他の調査でも過半数が反対。

人によってはここに「共産党は怖い」「表現規制派を許さない」「常日頃、仁藤夢乃の被害者ぶりが気に食わなかった」「嘘つき嫌い」「神原元弁護士は信用できない」といった理由が付加されましょうが、反Colaboクラスタ全体にもっとも共通する特性をあえてまとめると「税金の無駄遣いは許せない」と考える人々だと言えます。

その立場からすると、「Colaboはこんなに素晴らしい活動をやっている」という擁護の言葉は意味をなしません。「素晴らしい活動をしていると、税金を不正に使っていいと考えてんのかよ」と反論されて終わり。

これとは全然関係ないですが、ロシアから脱出してラトビアに拠点を移した独立系TVであるTVレインが、度重なるルール違反によってラトビアで免許取消になったことに対して、「こんなに素晴らしい放送をしていた」と擁護する人たちは「何が問題となったのか」を理解できていないのと同じです(「ロシアを脱出したTVレインがまたも存続の危機」参照)。

 

 

Colaboマジックの鮮やかな効果

 

vivanon_sentenceそこを見極められておらず、「ネトウヨがぁ」「ミソジニストがぁ」とやっているColabo陣営は、Colaboと強いつながりのある共産党の支持者以外に通じる言葉を発していないのだと思います。わかり合えている集団の中で言葉を回しているだけ。とりわけSNSではそういうことが起きやすいと以前から指摘されていますが、数字から見て、とくにColabo擁護クラスタではそれが起きていそうです。身内さえ理解してくれれば満足ってわけです。

国民を騙すことだけ目的としたロシアのプロパガンダを見るようです。

仲間うちの言葉は現に仲間うちでは通用します。しかし、その外側に出た時には相手にされない。今回、相手にされなくなるきっかけを作ったのはあの記者会見でした。

 

 

これで埋め込むのは4回目かな。私は記者会見の動画の拡散に無茶苦茶協力しているわけですよ。納税者全員に観て欲しいものですから。一方的にColabo側の主張を展開している内容なのに、広がれば広がるほど批判者が増えるColaboマジック

いかに印象が悪いかってことです。これだけの弁護士がガン首揃えて、どんな巨悪と戦うのかと思ったら、金は持っているとは言え、ほとんど無名の一般市民。訴訟内容は比較的シンブルなんだから、弁護士が1人いれば良くね?

訴訟相手がどんなひどいことをやったのかと思えば、「リーガルハラスメント」。それって合法。この弁護士たちは住民監査請求まで否定する無法集団? しかも相手の住所を入手した方法もグレー。この人たちって反社?

タコ部屋という表現は行き過ぎかもしれないですが、それでこんな大弁護団を組む必要があるか? 「女性差別」だのなんだのと言うもんだから、誤魔化しているとしか受け取れない。あー、なるほど、Colaboの人たちは、不正会計疑惑を追及されることが心底イヤなんだな、後ろめたいところがあるんだなというところに落ち着いてしまう。

という印象を持たれるのは当然。ここでいかに訴えた相手が悪質かを強調したところで、暇空茜のTwitter、note、YouTubeは簡単に探せますから、ネトウヨとは言えず(定義を拡大すれば入るかもしれないけれど、彼がネトウヨなら、日本人の過半数はネトウヨだべ)、反フェミニズムでもない。彼はもっぱら不正会計を問題としています。納得しやすいのです。

 

 

誰が騒動を作り出したのか

 

vivanon_sentence裁判においては、たったの1人で闘う暇空茜に同情が集まる。そっちだって弁護団がついているのですが、名前を売るためにしゃしゃり出てきたりしないので、たった1人でColabo弁護士団と闘うイメージが作られてます。嫌がらせをしてきたColabo擁護派を訴え、嫌がらせをしてきた団体の共同代表である上野千鶴子を訴え、殺人予告までされて一人で闘っているように見える。

なんで訴訟費用として7千万円もの金が集まったのか、Colabo陣営はよーく考えた方がいいでしょう。あの人たちがいくら考えたって、「日本はネトウヨ国家だからだ」「日本はミソジニーが強いからだ」なんて結論しか出せず、またColaboマジックが作動して、反Colaboクラスタが膨らんで、追及が厳しくなる一方です。

「そこまで大騒ぎするほどのもんか」という疑問はあり得ると思うのだけれど、それを望んで大人数の弁護団を組んで、議員会館で記者会見をやったのはColabo陣営。カンパで7千万円もの訴訟費用が集まったのもColabo陣営のおかげ。

Colabo擁護派には「女性が真面目にやっている一般社団法人を叩く暇があるなら、もっと大事なことがあるだろう」なんてことを言っている人がいますが、一般市民を相手に訴訟を起こして大騒ぎしているColaboや弁護団、「支える会」に同じことを言えば? 弁護士が1人で取り組めば、あとの6人はもっと大事なことができますよ。

✳︎鳥海不二夫「女性支援団体Colaboの炎上分析」より、時系列のツイート変化。茶色がColabo擁護派、青が反Colabo派。記者会見が騒動の起爆剤でした。このグラフについては「Colabo批判派と擁護派の中身—Colabo×暇空茜[傍流編11]」参照

続きます。

 

 

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