電気代とガス代の高騰が銭湯の経営を逼迫させる—タダで入れる風呂情報-(松沢呉一)
燃料費の高騰で銭湯の経営が困難に!?
一昨日は雪でしたが、銭湯は混み合ってました。
雪で電車が不通になりかねないことを恐れて仕事を早く切り上げ、休み前でも飲みに行くのをやめた人が多かったのでしょう。いつもだったら11時台に帰るのに、7時台に家に着いてしまい、しかも、夜遅くは雪も雨もやみましたので、近所の定食屋に行った後は「たまには銭湯にでも行って温まるか」となった人たちが多かったのだと思います。
その中に、30代と思われる二人組がいて、会話の内容から、片方は飲食店を経営しているよう。はっきりとはわからなかったのですが、ラーメン屋だろうと目星をつけて、浴槽の中で話を聞いてました。
「原材料費が上がって、去年、100円から150円値上げをしたんだけど、電気とガスが高騰して、また厳しくなっている。このご時世だから、また値上げするしかない」
昔の友だちに久々に会ったって感じで、友だちは簡単に「値上げすればいい」と言うのに対して、「そんな簡単ではない」と説明してました。照明を一部消しているスーパーがあったりしますが、飲食店の場合はガスや電気の節約は限りがありますし、料金表示を直すのにも一苦労しましょう。
どこもかしこも電気代とガス代の値上げは深刻です。銭湯も同じ。
押上の大黒湯は深夜まで営業しているので、他と比較にならず、ガス代が高いですが、そこまでではないにしても、ガスを使っている銭湯はどこも厳しいはずです。重油や軽油で沸かしている銭湯も同じ。薪の銭湯だけは変わらずかな(新品の薪を使っているわけではなくて、廃材です)。
光熱費に対して援助のある区とない区では大違い
他の銭湯で聞いてみました。
「かくかくしかじかで、テレビでやっていたんだけど、光熱費の値上がりで銭湯も大変なんですね」
「へえ、そうなんですね」と他人事のような返事。「大黒湯って広いですよね。行ったことはないけど、テレビか何かで観たことがありますよ」
「広いですね。スカイツリーが見える露天風呂もあるし、サウナの休憩スペースみたいなものもあったはず」
「浴槽が広くて、露天風呂があって、営業時間が長いと、燃料費は高くなりますよ。でも、営業時間が長い分、お客さんが来てくれていれば燃料費で経営危機になることはないはずなんですけどね」
「錦糸町の飲食店の人たちが仕事を終わったあとに来るので、深夜でもそこそこ混むって聞いたけど、コロナで時短になったり、休業になったりしたので、深夜の客が減ったのかもしれない」
「あそこは墨田区でしょ。私もはっきりとは覚えてないですけど、墨田区は区からの援助が少ないはずです。高熱費の援助まではないのかもしれない」
(残り 1452文字/全文: 2645文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ