ロシア領内でドローン攻撃があったり、自動車が襲撃されたり—ロシア義勇軍とは?-(松沢呉一)
ロシアの大攻勢はあえなく力尽きたか?
ロシアは、包囲が進んでいたバフムトを2月中には陥落させる予定だったようですが、すでにロシア軍の補給が尽きており、ギリギリのところでなおウクライナは持ちこたえていて、住民の避難を進めつつ、防衛戦を後退させているところのようです。
バフムトだけでなく、ロシアは侵攻開始1周年を機に大攻勢をかけていて、大量の戦車、装甲車、航空機を東部に投入し、動員によって集めた兵士も訓練を終えて、続々戦地に送り込まれていますが、そのわりに侵攻は進まず、場所によってはかえってボコボコにやられてます。
激戦地であるドネツクのウフレダルでは、数日間に130両の戦車が破壊され、1,000人以上のロシア兵が死んでいます。
ロシアの大攻勢がうまくいっていないのは、訓練をしたと言っても、わずか数ヶ月であり、実践経験がなく、モチベーションも低い動員兵では闘えないためとの解説が日本でも出ています。この1年でロシア兵は死亡と行方不明、再起不能の負傷を合わせて20万人が消えたとされていて、速成の兵隊が30万人いたって、その代わりにならない。どんだけ死んでも数を注ぎ込めばいつか勝てるという考えのロシア軍でもこれでは勝てない。
その上、動員兵部隊がやられているだけではなく、特殊部隊やエリート部隊が大敗しているとされています。
これだけの戦闘がなされているのであれば、ウクライナ軍の損害も相当だろうと想像しますが、ロシア軍の損害の方がはるかに大きいようです。これに対しては、戦車のみならずあらゆる車両や砲弾が枯渇しているという説、戦争開始以来、将校が死にすぎて指令系統がうまく機能していないという説、ワグネルと正規軍との対立が深刻化しているという説が出ていて、それらの複数の説がからんでいそうです。
ワグネルと正規軍が混在していることは非効率に見えますが、ウクライナを支配することのモチベーションがない中では、複数の組織が競争することでモチベーションを創出することができるメリットがあります。このような内部対立を作り出すのは、ヒトラーが得意としたところで、国軍とSSを争わせました。しかし、国軍がそれに反発したように、この方法にはマイナス要因も貼り付いており、補給がうまくいっていないロシアにおいても、プリゴジンが不満を表明し、それに対してショイグが地固めに動いている無駄な動きが目立っています。
このまま内部対立を激化させて欲しい。
早ければ今月、遅くとも4月にはウクライナは兵士の訓練を終えて、西側各国から供与された戦車が実践配備されるため、ロシアの攻勢が大きな成果を上げることはなさそうです。
ロシア各所でドローンによる攻撃
各国の軍や研究所も、ロシアの大攻勢は失敗したという見方をしていて、そんな状況の中で、注目すべきは、ロシア国内での多様な攻撃が始まっていることです。
大半は攻撃できないまま墜落していますが、そのひとつはモスクワから100キロ地点まで接近。
先月、モスクワで防空体制を強化しているという話がありましたが、このような攻撃が始まることを察知していたのか?
今回使用されたドローンはウクライナ製だとロシアは発表していますが、多量の爆薬を搭載できるタイプではないことから、シミュレーションのためではないかとも目されていると報道されています。戦闘機の供与が当面望めない中、本格的にロシア領内への攻撃を始めるとは思えないのです。
それでも、上の動画で軽く触れられている石油備蓄基地の被害は甚大だったようです。
以下は2月28日の夜に攻撃されたクラスノダールにある石油備蓄基地の様子です。
前夜に2機のドローンによる攻撃があり、火はすぐに消火されたと報道されていますが、この時点でもまだ燃えていて、広範囲で被害が出たことがわかります。消防隊の姿がまったく見えないのはこれ以上はどうしようもないため、放置されているためか。
これについてはウクライナは何も発表しておらず、発表していない時は関与している可能性があります。
ロシア国内に侵入したロシア義勇軍
ドローン攻撃とは連携していないのではないかと思うのですが、もうひとつ、ロシア国内での攻撃が表面化しています。
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