松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシアの核兵器配備に対するベラルーシ国民の反応—現状ではまだ動きは見られないながら、再び鉄道戦争激化か-(松沢呉一)

 

「ロシア人にインタビューしてみた」ベラルーシ編

 

vivanon_sentence

クリミア、そしてロシア国内で続く爆発—バルチザンの活動が激化しているっぽい」の補足的内容です。

半月前、つまり核兵器配備の話が出てくる前、1420「ロシア人にインタビューしてみた」では、ベラルーシで聞いた動画を何本か出してました。

 

 

 

質問は3つ。「ロシアとの同盟に賛成か反対か」「西側の経済制裁をどう思うか」「ロシアと西側とどちらをとるか」。二番目の質問は聞いている数が少ないので除くとして、一番目の質問に対しての回答「ロシアとの同盟に賛成・反対・中立(+無回答)」の比率はざっと「2対1対1」、三番目の質問に対する回答「ロシア・西側・中立(+無回答)」の比率も「2対1対1」でした 。

この動画でもそのことが読み取れるように、ロシア国内ほどではないながら、ベラルーシでも国民の表現は規制されていますから、「ロシア支持」に比して、「西側支持」の意見は表に出にくく、「そんな質問には答えられない」といった人はおそらくもっといて、すべてをこの動画に収録しているわけではなさそうです。

ベラルーシの公用語はベラルーシ語とロシア語の併用で、ほとんどの国民はどちらも理解できるようです。この質問もロシア語でなされていて、質問者はロシアから来たと説明していると思われるため、その分、回答がロシア寄りになっている可能性がありそうで、一般には「ロシア寄り/NATO寄り」は拮抗していると言われています。

ルカシェンコを支持する/支持しない」「ロシアを支持する/西側を支持する」「ロシアの侵攻を支持する/支持しない」はそれぞれきれいには重ならず、このインタビューでもルカシェンコを支持する人がロシアを支持しているとは限らず、「ルカシェンコには期待ができないから、まだしも信頼できるロシア同盟を支持する」という人もいます。

概要欄にも出ていますが、ロシアを支持する人でも、ウクライナ侵攻については反対意見が圧倒的に多いはず。以前の調査ではたしか8割以上が反対だったと記憶します。

というのがベラルーシの世論です。

 

 

ベラルーシの地下活動

 

vivanon_sentenceロシアがベラルーシに戦術核を配備することについてはベラルーシ国内でも当然報じられています。

とくにルカシェンコ支持、ロシア支持で、NATO嫌いの人の中には、「ベラルーシも核保有国になれて頼もしい」「NATOに拮抗できる」と考えるのも確実にいるでしょうけど、いよいよベラルーシはロシアの基地化して支配下に置かれ、戦争になったら焦土と化す可能性が高まりますから、ロシアのウクライナ侵攻を支持する人でもこれには反対する人がいるでしょう。

これに対するプロテストが起きるのではないかと様子を見ているのですが、今のところ国内の動きはわかりません。国内メディアには期待できないとしても、大きな動きがあれば、国外メディアが報じるはずですから、目立った動きは起きてないのだと思われます。数年前の反政府運動を担った中心人物たちは国外に出たのが多いので、すぐに動けないのかもしれない。

広範な人々からなる大衆運動ではなく、サイバー・パルチザンBYPOLなど、ゲリラ戦やIT戦を担う地下組織は活動を続けてましたから、彼らはいずれ動くはずです。逮捕者も出て、その後はおとなしくしていたのではないかと思いますが、鉄道戦争が激しくなるでしょう。

ちなみに以下は1年前にサイバー・バルチザンが出していた動画。

 

 

 

next_vivanon

(残り 791文字/全文: 2351文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ