松沢呉一のビバノン・ライフ

今回の統一地方選で思ったこと—大津綾香・宏洋・木下ギルド・堀切笹美・へずまりゅう・煉獄コロアキ・鈴木達郎ほか-(松沢呉一)

 

派閥のある組織の方が健全

 

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バタバタしていたので更新が遅れましたが、今回の選挙では、維新が大躍進し、その分、改選前に比して、立憲民主党は10議席以上、共産党は20席以上減り、自民党、公明党、国民民主党は一桁台の増減に留まり、ざっくり横ばい。

共産党は長期低落傾向もありますが、それだけだったら、24議席も減らない。無党派層が「自民党ではない選択」を探る結果、共産党や立憲民主党に流れていたのが、今回は維新に流れたように見えます。「自民じゃない選択」として共産党に入れる人ってけっこういたのかも。もっとも距離のある党に入れる。共産党支持とは言えない人たちなので、「党首公選制を主張すると除名」という共産党の現実を目の当たりにすると、さすがに「共産党はヤバい」になりましょうし、少数ではあれ、Colabo問題で失望した人もいるでしょう。

党内から除名処分に対する批判や疑問、Colabo問題に対する批判や疑問が次々と出ていたりすると事情はまた違ったかもしれないですが、ダンマリですから、共産党を支持していた人たちでさえ離れた人は少なくなさそうです。

たまたま昨日、そういう話を知人としていたのですが、異論を認めると派閥ができるという共産党の主張を聞くと、「派閥があった方がいい」という結論に至ります。派閥があるから、意見に幅ができ、多様性を保証します。党内での相互批判も期待できる。派閥も作れないような組織は恐い。

それが恐いと思えない共産党から人々は離れていくだけです。

共産党の区議会議員候補で、日本共産党の名前を目立たないようにポスターに入れているのを見ました。本当にそうなのかどうかわからないので、写真は出さないでおきますが、どうせ党員は投票してくれますので、目立たせない方が有利という判断でしょう。ギリギリ当選してましたが、堂々と党名も出したくない政党ってまいずいでしょ。

 

 

「炎上選挙」は成立するか?

 

vivanon_sentence応援している特定候補の結果が気になることはありますが、地方議会選挙でこうも広く結果が気になったことはなかったかも。しかも、今回気になっていたのは、応援している候補ではなく、応援していない候補やむしろ落選して欲しい候補が多数いました。気になっていたのは「炎上選挙」ですから。

前に政治家女子48党は「支持しないけれども注視している」と書きましたが、ご存知のように、立花孝志vs,大津綾香の間で壮絶なバトルが始まります。

その結果。目黒区議選で大津綾香は1,008票。最下位当選には500票強足りませんでした。

 

 

当初は「炎上選挙」として票が集まるのかとも思ったのですが、泥沼化することで両者ともにうんざりした人は多いはず。とくに立花派によって、大津綾香候補は目黒区の居住実態がないことを明らかにされてしまって、これで「大津綾香の当選はなくなった」と思いました。当選したって、立花派あるいは次点で落選した候補が告発しますから、投票すると死に票になります。

実際にどうなのかはわからんわけですが、Twitterの位置情報で、目黒区より、もともとの自宅がある港区の方が多いのはまずいでしょう。たった3ヶ月、目黒区の物件に机とパソコンと寝具を持ち込んで生活すればいいだけなのに、それすらできないのは脇が甘すぎです。

今回宮崎市議として当選したスーパークレイジー君ですが、埼玉県戸田市議選では当選したのに、居住実態がないとして無効になった際、寝泊まりだけでは居住実態があるとは言えないとされていて、ガス代、電気代までチェックされ、アパートの他の住民の目撃証言がないことまでを根拠にされています。スーパークレイジー君なんて名前の市議を排除したかったのではないかと思えるくらいに特別に厳しかったのだとしても、つねに自分もそのくらい調べられることを前提にすべきです。

それにしても数字が少ない。彼女だけでなく、N党・政治家女子の立候補者はのきなみ落選。そりゃそうでしょ。

 

 

宏洋も落選

 

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大津綾香とタッグを組んだ宏洋は渋谷区議会議員選挙に挑んで、こちらも落選。

 

 

カルトであっても信じたい人は信じればいいのですけど、「無税でいいのか」「二世信者はむしろ 信仰の自由を侵害されているのではないか」など、議論すべき点はあるので、彼の存在は重要。ただし、多額の借金を抱えている人物は借金を返済してから政治家を目指すべきだと思うので、この立候補は支持できないのではありますが、結果は注目していました。

大川隆法死去によって知名度を爆上げしていたので、下位で当選するのではないかとも思っていたのですが、1,038票で、最下位当選まで200票足りず。これは惜敗と言っていいでしょう。自分から火中の栗を拾いに行くタイプなのが災いして、大津綾香に肩入れしすぎたのが敗因か。

立花派vs.大津派のバトルはこれ以降も継続するのでしょうが、内部のいざこざには興味がないので、よくわからん。

 

 

木下ギルドの著作権侵害・公選法違反

 

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続いてはColabo関連。新宿区議会議員選に立候補していた木下ギルドが、暇空茜のイラストを使用。これに対して暇空茜が激怒。

私は今まで暇空茜というキャラについて、また、そのイラストについて正確に理解出来てなかったです。

以下参照のこと(法の解釈は横に置くとして、事実関係について参考になります)。

 

 

 

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