ウラル山脈近くで超絶大火災—眠れぬ夜が続くプーチン-(松沢呉一)
FSBを爆破した「黒い橋」
ロシア国内の不審火や爆発について、踏み込んだ報道が増えているように思います。ウクライナ戦争については、飽きられている感がありますが、その中では比較的ロシア国内のパルチザンについての関心は高いのではなかろうか。
私自身、今回の戦争で、軍事関係の知識が少しは増えましたが、十分ではないため、戦況について情報を解析することができず、それよりもロシアの火災や爆発に興味が向かってしまいがちです。
以下に出てくるパルチザン組織と、ロシア人による義勇軍の取材も大変興味深く観ました。
国民共和国軍は信用ならないので飛ばすとして、「黒い橋(ブラックブリッジ)」は前に取り上げてますが、ロストフ・ナ・ドヌにあるFSBへの攻撃で初登場して、以降はとくに動きを見せていないようです。パルチザン組織の多くがそうであるように、ここもおそらく少人数でしょうから、そうは動けないのだろうと思います。
この「黒い橋」は文書による取材を受けていて、FSBの爆破は、エスコバルという人物が鍵を握っている旨を語ってます。これが誰なのかは不明で、当然実名ではないのでしょうが、FSB内の内通者だと思われます。
FSBの敷地内にある武器弾薬庫に爆薬を仕掛けていて、当然FSBは警備が厳重ですから、内部の協力なしでは実行は難しい。しかも、その映像が出ているように、予めカメラをセッティングして、爆発を捉えていることから、組織的な犯行であることは間違いなさそうで、かつ国民共和国軍と違って、実在するパルチザン・グループであることも間違いなさそうです。
もはや言論は不要、必要なのは爆発物
ロシア志願兵軍団は前にロシア義勇軍として取り上げた部隊です。捕虜兵たちによるロシア自由軍とは違い、最初からウクライナのために志願してきたロシア人たちによる部隊で、パルチザンではなく、ウクライナ軍公認の部隊です。
創設者のデニス・カプースチン司令官が顔出しでインタビューに答えています。このインタビューによると、武器も高度化していて、ハイマースも配備されているようで、ウクライナからロシアに侵入していますから、ロシアに対する相当な脅威になりそうです。
以下はフリップに書かれていたものですが、これもデニス・カプースチン司令官の言葉でしょう。
抑圧に抵抗しようとするロシア人に対する処方箋は簡単だ。公で発言するのを止めて、密かに行動を始めることだ。言葉で悲しみから救われることはないが、爆発物を使えば、その原因を取り除くことができる。
言論が機能しなくなった世界での処方箋です。対ナチスの地下活動家が、疑われないように、大きなハーケンクロイツを家に掲げていたのと同じ状況になっていて、公に発言したり、デモに出たりするとマークされますから、従順なプーチンの支持者を偽装して、深夜、火炎瓶を投げるのが有効。
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