松沢呉一のビバノン・ライフ

今年の戦勝記念日—博物館とアーティストとロシア兵による抵抗-(松沢呉一)

 

今年の軍事パレードとプーチンの演説

 

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昨日の夕方、「プーチンの演説でも見物するか」と生中継をしているチャンネルを探したら、日テレが、同時通訳と銘打った生中継をYouTubeで流していました。しかし、同時通訳はありませんでした。音声を切り替える方法があったのかもしれないですが、私にはわからず。

キリル文字は読めても、ロシア語は30単語くらいしか知らない私が、その中継でわかったのはナチとかNATOくらいでした。あとは「ウラー」の唱和。

ウラー(Ура)はロシア語の「万歳」。声を揃えて「ウラー」とやるのは勇ましいですが、敵陣に突っ込んでいく時も「ウラー!」です。日本兵が「万歳!」と雄叫びを挙げて玉砕していったのと同じ。

以下はなんの映画かわからないですが、おそらくレニングラード戦です。

 

 

「畜生(сука)、万歳(Ура!)」と言っているようです。こうやって死ぬことがわかっているのに突っ込まされて、ドイツ兵以上に赤軍兵は死に、無数の屍の山の上でなんとか勝利したのです。

今回も多数のロシア兵が「ウラー!」と言いながら死んでいったのでありましょうし、これからも大量に死にます。「ウラー」は物悲しくもあります。

 

 

わかったのは戦車の不足と髪の毛の不足

 

vivanon_sentenceこういう時は自動翻訳の字幕があれば半分くらいはわかりますが、日テレの中継は自動翻訳が出る設定になってませんでした。

結局、SCMP(South China Mrning Post)による英語字幕つきの中継を観てました。

細かいところはわからなかったですが、「第二次世界大戦時、ソ連が多大な犠牲を払ってナチスドイツを打ち負かしたことが忘れられ、NATO諸国にそそのかされてナチスを復活させている国がある」と展開していって西側を批判し、「ウクライナ侵攻を継続する」みたいなことを言ってました。いつもと代わり映えしない。

ただ、かつてのような覇気、 威厳みたいなものがプーチンの話しぶりや表情からは感じられず、手元の原稿に目を落とす時間が長い分、頭頂部がよく見えてハゲが目立ってました。これまでそんなに注視していたわけではないですけど、前はもうちょっと毛があったと思われます。心労が絶えないですからね。

演説が終わってから、細かいところを知りたいと思って探したら、TBSが同時通訳だったようです。

 

 

でも、この通訳ではSCMPの英語字幕と同じくらいしかわからん。

 

 

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