松沢呉一のビバノン・ライフ

日本には同性愛に特化したジャンルがあるのに、あらゆる場面に性表現を入れたがる貪欲な人々—アニメに詳しくない私がアニメに対する批判に反論する[後編]-(松沢呉一)

日本のアニメキャラが白人に見える人の中にある差別性—アニメに詳しくない私がアニメに対する批判に反論する[中編]」の続きです。

 

 

ココスとにじさんじのコラボ

 

vivanon_sentence前回見たような決めつけに基づいて「日本のアニメキャラは白人だ」として非難する人たちがいて、彼らは自分らの感覚を疑うってことから始めた方が良さそうです。

これと同じことが他のテーマでも起きています。同じ絵なのに別のものを見て非難する。漫画やアニメ的なものに対する非難の多くがそうでしょう。

VTuber戸定梨香への非難もその典型でした。性的なものとして見ている人はほとんどいないでしょうが、なんでも性的に見えるエロ頭の全国フェミニスト議員連盟はそういう意図のキャラだと思い込みました。

全国フェミニスト議員連盟は、VTuberは男が作って女が消費していると思い込んだに違いありませんが、これも大きな間違い。

先月のこと。まだ明るかったので、午後5時台くらいだったと思いますが、ファミレスのココス中野店の前を通りかかったら、店外の大きなバナーをスマホで撮影している女子二人がいました。ココスはよくアニメとのコラボをやっていて、アニメのファンが撮影しています。SNS用でしょうが、自分のコレクションでもありましょう。

今回はどことコラボだろうと思ったら、にじさんじでした。ちょっと前に、にじさんじENが大炎上してましたが、コラボが中止になることもなく、日本への影響はあんまりなさそうです。

この日は5月21日で、通りすぎながらバナーの日付を見たら、コラボの初日でした。にじさんじの女子ファンも熱心だなあと思っていたのですが、2人ともマスクをしています。VTuber本人か? だから初日に様子を偵察に来たのかもとも思いました。

とその時、店の中から、5人組の女子グループが出てきました。外で写真を撮っていた2人の仲間かと思ったのですが、違ったみたい。写真を撮っていた2人は地味でしたが、こちらはもう少しオシャレな集団です。楽しそうにダベッていて、全員クリアファイルみたいなもんを手にしてます。全員が手にしていたということは、コラボメニューを頼むともらえるのかも。

VTuber本人はこういった特典はもらえるでしょうから、どいつもこいつもVTuber本人ってことはないか。頭の中にある「女が男に搾取される」という図式で世界を解釈できると信じて疑わない人たちは想像しにくいかと思いますが、VTuberは女子ファンも多く、現在VTuberをやっているのも、多くはファンから始まってます。

✳︎「ココス×にじさんじ」コラボキャンペーン特設ページより。力が入っているなあ。やはりコラボメニューを頼むと、もれなくクリアファイルをもらえます。コラボメニューは通常より少し高いかもしれないですが、メチャうまそうです。ただし、誰のクリアファイルか指定はできません。また、景品がなくなった時点で終了。午後5時台に晩飯終了は早いと思ったのですが、コラボメニューにはプリンやパフェもあります。あの彼女たちはこっちだな。

 

 

ヤオイコンとBLの浸透

 

vivanon_sentence

こういった事実を知れば、見えてくることがさまざまあるはずですし、無闇に漫画、アニメ、VTuberを叩くフェミニストたちは、女を敵にすることを想像できるようになるはずですが、現実を見たくないんだべな。

 

 

next_vivanon

(残り 1311文字/全文: 2730文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ