人を殺すなら整形しない、整形したなら人を殺さない—薬物と整形-(松沢呉一)
田代まさしの不幸と幸福
とくに何かきっかけがあったわけではないですが、「田代まさしって、何度捕まったんだっけ?」と気になって、Wikipediaを見たら、薬物だけで4回。うーん、このまま記録を伸ばし続けるしかないんですかね。
それでも彼は恵まれていて、今なおサポートしてくれる人たちがいるようです。逮捕されるわけではないアルコール依存症でも、スリップを繰り返すと、そのたびに人が離れていき、気づけば「誰もいなくなった」ということになりがちです。そうなるといよいよ酒に走ります。
Wikipediaによると、田代まさしは糖尿病なんですね。刑務所に入っていれば嫌でも規則正しい生活になり、暴飲暴食をすることもできず、治療も受けられるので、その点ではシャバにいるより安定しそうです。
ここから疑問が湧いてきました。美容整形で鼻にプロテーゼを入れている受刑者が刑務所内の喧嘩でプロテーゼがずれて鼻が変形したり、皮膚が破れてプロテーゼが露出した場合、それによって呼吸困難になるか、痛みがひどくて悶絶するくらいじゃないと、医療刑務所の対象ではないでしょうから、顔が歪んだままだったり、プロテーゼが露出したままだったりするのかな。
治療を受けられたとしても、医療刑務所には美容整形の医者はいないし、わざわざ外部から呼んでくれないでしょうから、外科医がプロテーゼを外すだけじゃなかろうか。シャバに出てきた時には鼻が歪んでいるか、元通りペシャンコになっているかだと思います。
1年や2年ならまだしも、長期になると、整形箇所に何かしら不都合が生じることがありそうです。旭川女子高生殺人事件の犯人グループはあまりに残忍で、主犯格は懲役10年以上を食らいそうです。歳が若いので、全面的な顔面崩壊には至らないでしょうが、メンテができないので、どこか崩れるかもしれず、シャバに出てきた時は別人になってそう。
再手術しようにも金はなく、男をたぶらかして金を巻き上げようにも顔が崩れてます。やりすぎましたわ、整形も犯罪も。
「人を殺すなら整形しない、整形したなら人を殺さない」という教訓を知らしめたい。
✳︎船橋中央クリニック/青山セレスクリニック「鼻プロテーゼはいつか出てくるのか?」より この患者さんは刑務所で喧嘩したのでなく、手術から15年で自然に露出したそうです。そんなことがあるんですね。誰もがこうなるわけではなく、技術のない医師が不適切な手術をした場合に露出することがあるとのことです。適切な手術をしても、自転車に乗っていて電柱に顔をぶつけたり、フリスビーが鼻に当たったりしてもこうなることはありそう。こわ。
なぜやりすぎの美容整形が増えているのか
韓国に比べると、日本では美容整形の件数がうんと少ないですが、最近、整形をしていることが露骨にわかるの人が目立ちます。鼻を無理に高くして鼻先の皮膚が引っ張られて赤くなっていたり、小鼻を小さくしすぎて取ってつけたような鼻になっていたり、涙袋を膨らましすぎていたり。
歌舞伎町を歩いていると、キャバクラやホストクラブの看板を眺めるわけですが、写真を加工していることが露骨な店もあって、「プリクラかよ」「そんなにでかい目の人間はいねえよ」と突っ込めるので、わりと好き。引っかかるのは「そんなに整形をアピールされても」という顔です。店によっては全員整形顔。店内の暗がりだとちょうどいいのかもしれないですが、歌舞伎町の路上は明るすぎます。
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