黒人に日本を差し出すことで罪の意識を解消しようとした差別者集団UBIソフト—文化盗用とパクリ[蛇足編8]-(松沢呉一)
「「アサシン クリード シャドウズ」の提灯に大きな疑問—文化盗用とパクリ[蛇足編7]」の続きです。
「アサシン クリード シャドウズ」の石灯籠
前回、「アサシン クリード シャドウズ」の提灯がおかしいと指摘しました。
提灯に限らず、「昔っからある」と思われている日本の伝統的な衣服、髪型、道具は案外歴史が新しかったりします。つっても、今我々が提灯として認識している照明器具の場合、300年くらいの歴史がありますが、16世紀には存在しなかった可能性が大です。原型になるものが存在していたとしても、至るところに提灯が吊るされていたとは考えにくい。
私は夜の墓場に鑑賞しに行くくらい石灯籠も好きです。一部韓国人が「石灯籠の起源は韓国だ」と言い出しかねないので、先手を打っておきますが、石灯籠のルーツはペルシャと言われています。ゾロアスターです。そこから、シルクロードを通って日本に伝来したとされています。
石灯籠につながるようなゾロアスターの灯籠を見たことがないので、この説が正しいのかどうか私はわかりませんけど、ペルシャからはさまざまなものが渡ってきましたし、火を使う仏教儀式もゾロアスター由来とされているものがありますから、そういうことは十分ありそうです。
朝鮮半島は経由地だったのか、朝鮮半島とは別ルートで日本に入ってきたのかもわからないですが、朝鮮半島にも石灯籠はあります。でも、石塔に火袋がある簡素な形状でつまらんです。
日本でも、古いタイプの石灯籠は面白みがなく、江戸時代にただの照明ではない形状に無駄に発展し、道具から表現に昇華されていて鑑賞に耐えます。よく現在の日本庭園やマンションの入口にある石灯籠はたいてい歴史が浅いものです。つっても、これまた数百年は経ってますが(そういった石灯籠は新しく作られていますが、形状は数百年の歴史があるという意味)。
今のところ、「これはおかしい」という石灯籠を見つけてないですが、「アサシン クリード シャドウズ」のスタッフは揃って日本文化にも歴史にも無知な上に厚顔なので、江戸時代に生まれたタイプの石灯籠を登場させるだろうとワクワクしてます。楽しいゲームです。
「アサシン クリード シャドウズ」に登場する暖簾にも疑問あり
私は暖簾も好きで、「アサシン クリード シャドウズ」のプレイ動画に水引暖簾が見えるシーンがあります。一部韓国人が「暖簾の起源は韓国だ」と言い出しかねないので、先手を打っておきますが、ルーツになるかもしれないものは各地に存在しながら、今現在我々がよく知る店の暖簾は日本発祥です。
暖簾の始まりは大きく二つの流れがあります。一つは神社や寺によくある幕です。韓国の寺院にもあります。これを辿っていくと、チベットやブータンの仏教施設にたなびくヒラヒラの幕や布切れに行き着きそうです(勘で言ってます)。
それとは別の流れは日除けの布です。暖簾は室町時代に商家の発展とともに登場するのですが、直接には日除けの布が変化したものだと思われます。商品が日光で日焼けをしたり、傷んだりするのを防ぐものであり、日除け暖簾と言われるタイプです。
水引暖簾はその後に出てくるもので、日除けの役割が失われ、商家であることの表示になります。この変化においては宗教的な幕が影響したように見えます。
プレイ動画の水引暖簾は水色です。今はいろんな色がありますが、初期の水引暖簾はだいたい白。あとは藍でしょう。
また、あの建物は当時の商家とは違っていそうですし、そもそも水引暖簾が登場するのは江戸時代と推測できますが、確証はないので、引き続き監視を続けます。
建築、鳥居、仏像、着物、髪型、刀、鎧など、それぞれ詳しい人たちの叡智を集めれば、「アサシン クリード シャドウズ」が全編デタラメであることを確定させられそうです。すでに確定しているに等しいか。
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