松沢呉一のビバノン・ライフ

南北連結道路爆破なんかより北朝鮮のロシア派兵が気になる—世界大戦になるか、ロシアと北朝鮮がまとめて崩壊するか-(松沢呉一)

 

「南北連結道路」爆破

 

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「南北連結道路」については以下がわりとよくまとまってます。

 

 

南北統一を夢見られていた時代の象徴を破壊しただけのこと。まったく使っていなかったのですから、あってもなくても一緒。だったら残してもいいわけですが、「お前らはただの敵」と宣言するために、派手なパフォーマンスを展開。子どもか。

ずいぶん前から準備していたようですが、「もう我慢できん」となったのは一連の風船バトルや先日のドローンの侵入か。

韓国政府や国民が容認しているのだから、とやかく言うことではないですが、脱北者グループによる風船攻撃は、むしろ平和時に生きるものであり、この時期は控えた方がいいのではなかろうか。ドローンも彼らによるものかとも思うのですが、さすがにこれは一線を超えています。彼らは、朝鮮戦争を再開して北朝鮮を焼け野原にして快哉を叫びたいのでしょうか。

ちなみに、脱北者の中には、あの風船で国外のことを知り、それが脱北につながったと言っているのがいますから、効果がないわけではないですが、昨今、中国の取り締まりが厳しくなっているため、一般の国民が脱北するのは困難で、外交官の脱北が増加しています。彼らは国外事情をよくわかっていますから、風船は不要。

 

 

北朝鮮がロシアに派兵

 

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派手なヴィジュアルがあるので、「南北連結道路」が大きく報道されるのは理解できますが、私としては北朝鮮がロシアの要請でウクライナ戦に兵士を派遣したらしきことの方がずっと気になります。

6月にあったロシアと北朝鮮の首脳会議で「包括的戦略パートナーシップ条約」が締結されました。まだロシアの国内法が成立してないようですが、すでに現実は動き始めています。

この条約には一方の当事者が第三者に攻撃された場合、他方は軍事援助を提供しなければならない」との条文があります。その内容から、読み取れることでしたが、武器だけでなく、人的支援もするのは当然です。それまでにも兵士ではない労働力を提供していたようですが、条約締結からまもなく朝鮮軍が訓練のためにロシアに出発。

それから3ヶ月、今月3日にロシアが支配するウクライナ東部ドネツクに対するウクライナのミサイル攻撃によって、兵士20人以上が死亡し、うち6名は北朝鮮の士官であった旨を「キーウ・ポスト」が報じました。死ぬのが早い。

この情報は続報が出ておらず、身元がすぐにバレるようなものは身につけていない可能性があって、なぜ北朝鮮士官だとわかったのかも不明。あるいは捕虜も捕獲したか。

ここ数日で、ロシア軍傘下の北朝鮮軍の様子が少しずつ見えてきていて、3千人から1万人まで、人員数は大きな開きがありますが、おそらく訓練が終わった部隊から次々と戦地に送り込んでいるのでしょう。

北朝鮮兵は特別ブリヤート大隊」を組織し、これはブリヤート人はアジア系の顔立ちをしているためと見られていて、独立した部隊なのか、ブリヤート人の部隊に組み込まれるのかわからないですが、北朝鮮軍がそのまま参戦したとなると、ロシアvs.ウクライナの戦争から意味合いが違ってきて、NATOが黙ってないかもしれず、ロシアもそれは望んでないでしょう。事実、ロシア政府は北朝鮮兵が従軍していることを認めてません。

 

 

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