北朝鮮に続いて、韓国も戦争に足を踏み入れそう—日本ではわかりにくいウクライナの韓国評価(松沢呉一)
ウクライナは韓国の方針転換をどう見ているか
北朝鮮がウクライナ戦争に参加したことで、韓国は慌ててウクライナに協力することになったようですが、これはどうなんだろ。
報道によっては武器供与だけのようですが、軍隊と諜報機関の派遣も提案していると報道しているメディアもあります。こっちが正しそうです。
ロシアと北朝鮮の間でこのほど締結された「包括的戦略パートナーシップ条約」によって、もし朝鮮半島で戦争が再開されたら、ロシアが参戦することになります。となると、米国も黙ってないですから、米露の直接対決は避けられず、朝鮮半島は焼け野原です。
北からも南からも大挙して日本に逃げてくるなど、日本への影響も少なくないでしょう。
ウクライナで朝鮮戦争の前哨戦をやるのは危険すぎないか。韓国政府は何考えてんだろ。
最近、ウクライナ情勢が激しく動いていますが、事情が込み入っているので、漫然と報道を見ていても十分に理解できず、疑問が次々湧いてきます。
その点、ボグダンさんの解説がしばしば役に立ちます。日本のメディアよりしばしば情報が早いですし。
韓国が武器供与する方向で動き出したことについての以下の動画も役立ちました。
ボグダンさんの口調からも、韓国に不信感を抱いていることがわかります。その事情を知ると納得。
確固たる方針はあっさり変えられた
韓国はウクライナへの経済援助はしてますが、ウクライナ避難民の受け入れには消極的。国内のYMCAなど、避難民の支援をしている団体が政府に援助を要請してますが、政府はビザの発給以外は無策です。
全然知らなかったのですが、ウクライナと韓国の関係は強く、かつて朝鮮半島から多数の農民がソ連に移住し、ソ連崩壊時に独立したウクライナや中央アジアの国々に分散、その数50万人。一部は韓国に帰国していて、それらの人々を頼って韓国に避難した「元韓国人」もいるようです(移民を多数出したのは「大韓帝国」時代だと思われ、「元韓国人」は「元大韓帝国人」の意味です)。しかし、政府の支援はなし。
武器供与についてはおくらいなの要請を断り、この6月にも尹大統領は「攻撃用殺傷兵器はどこにも支援しないという確固たる方針を持ってウクライナ支援に取り組んでいる」と言ってます。
その確固たる方針が、北朝鮮が参戦したら、あっけなく覆されたのは、「ウクライナの事情を理解したのでなく、朝鮮半島の事情でしかない」と見抜かれますよ。事実そうなのですし。
ボグダンさんが指摘するように、ウクライナでの北朝鮮の動きを見ることで、北朝鮮の実力を知りたい。北朝鮮の情報を提供する代わりに、捕虜の取り調べを韓国軍がやることで情報を得られると期待しているのでしょう。完全に自分の都合。ウクライナには「元韓国人」が多数いるんだから、通訳には困らんでしょうに。
✴︎2024年5月9日付「ハンギョレ新聞」
(残り 1019文字/全文: 2301文字)
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