松沢呉一のビバノン・ライフ

米人観光客による連続放火—外国人犯罪の新たなジャンルを開拓か-(松沢呉一)

 

観光客が連続放火?

 

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家族とともに日本に観光で訪れていた米国の18歳が連続放火容疑で逮捕された事件は、これまでの放火イメージと迷惑外国人イメージを一変させました。

 

 

本人は「覚えていない」と言っているとのことですが、観光客だとカモフラージュのための衣装、帽子、サングラス、マスクなどを揃えていないでしょうから、防犯カメラの映像で特定されたのではなかろうか。しかも、複数箇所でやってますから、誤認逮捕は考えにくいだろうと思います。

怪しまれにくいアジア系かとも思ったのですが、アジア系じゃないから防犯カメラ映像で特定されやすかったとも思えて、どっちかわからん。

日本橋周辺だと、表通りはビルが多いですが、それでも古い木造建築の商家がありますし、裏道に入れば木造の建物が多数残っています。もうなくなりましたが、数年前まで人形町には古い銭湯がありましたしね。

当初、蛎殻町と聞いて、燃えやすい木造家屋を狙ったのではないかとも思ったのですが、この映像を見ると、そうでもないのかな。

 

 

想像しにくい観光客の放火

 

vivanon_sentence放火犯の動機はいくつかに分類できます。工員が工場に放火して、「しばらく出勤しなくて済むと思った」なんてことがあって、これは放火自体が目的ではなく、休むための手段。人を殺して、証拠隠滅のために遺体にガソリンをかけて火をつける、保険金を詐取するために火をつけるのも手段です。

これらに対して、放火という行為やそれによって直接生じる光景や騒ぎを目的とする「ピュアな放火」があって、こちらの方がずっと多く、今回もそうでしょう。

ただ、こういった快楽のための放火の場合、特定の対象ではないにしても、自由自在にどこでも火をつけるのでなく、人通りが少なく、人目につかない場所を犯行現場に選び、捕まらないように逃げ道を確認するため、下見をするか、幾度か通りかかったことのある場所で火をつけるのが一般的です。

しかるべきのちに燃える建物や騒ぎを確認しに戻ることも多いので、自宅から自転車で5分、徒歩で10分といった場所に住んでいることが多いものです。

今回の犯行はそういった放火の法則から、大きく外れていると感じましたが、よくよく考えると、そんなにかけ離れているわけではないかも。

家族での観光ということから、「2泊した程度で周辺の地理を把握できるはずがないし、単独行動ができる時間はさほどないだろ」と思ってしまいましたが、それは日本人の家族旅行。家族によりけりで、同じホテルに2週間ほど滞在し、家族で揃って行動することもありつつ、それぞれの興味に従って各自で動くような旅行もありましょう。

 

 

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