IVEが坂本龍一の「戦メリ」をパクったと非難するのは難癖—韓国のポップスに浸ってみた(18)-(松沢呉一)
「韓国のバレーボール・チームが「ハイキュー!!」を大掛かりに無断使用—韓国のポップスに浸ってみた(17)」の続きです。
IVEの「Supernova Love」は権利をクリアしていると思うぞ
IVE(アイヴ)ってK-POPアイドルが「戦場のメリー・クリスマス(Merry Christmas Mr. Lawrence)」をパクったとして叩かれてます
「韓国だからパクリに違いない」と思い込むのはやむを得ないですが、ちょっと落ち着け。概要欄を見ると、「Composed by Ryuichi Sakamoto」とありますから、権利はクリアしているだろうことがわかります。「韓国だから難癖つけていい」とはならんじゃろ。
ここは「パクリ大国が、ついに他者の著作物を利用するには許諾や使用料が必要だってわかったようだぞ。よくやった」と誉めるべきです。さもないと、「正規の手続きをとっても叩かれるんだったら、黙ってパクった方がいい」と彼らは学習して、元通りになります。
今まで見てきたように、「短期で成果を出すためには手段を問わない」という考え方をする人たちであり、手抜きやパクリはお手のものです。建物も道路も先端技術もスポーツも農作物もお菓子も音楽もそうです。
相変わらずウェブトゥーンを舞台にした盗用が話題になっているように、また、K-POPアイドルの曲も多数パクリ疑惑が出ているように、なおパクリは絶えないですが、ずっと繰り返してきたように、若い世代を中心に、確実に意識が変化してきてますから、この流れは止めない方がいいと思います。
IVE版とロットングラフティー版の違い
坂本龍一の名前がクレジットされていることを指摘されてもなお「原曲に対するリスペクトがない」といったような批判がなされていますが、原曲ままのコピーだったらYouTubeになんぼでもありますから、大胆なアレンジが加わった方が私は楽しめます。
IVEのカバーは、ドヤ顔を見るだけで腹一杯になってしまって、最後まで観てないですが、「K-POPアイドルは気味が悪い」と感じる人は、炎上させて注目を集めるより、「観ない聴かない」のが賢明かと思います。
「戦メリ」は多数のカバーが出ていて、原曲の雰囲気をぶち壊しているものもすでにあります。
ロットングラフティーによるカバーである「悪巧み」とか。
IVE版とロットングラフティー版が違うのは、「悪巧み」は一時私がカラオケでよく歌っていたのに対して、IVEヴァージョンは歌う気がしないってことと、「悪巧み」はサブタイトルに「Merry Christmas Mr.Lawrence」と入れていることです。つまり、カバーであることを明示しています。
IVEもそうしていればパクリだと誤解されなかったでしょうけど、それでもクレジットしているだけ大変な進歩です。やればできるのです。米国のスタッフが制作しているので、そちらの意向かもしれないですが。
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