ウクライナがロシアに負ける日はウクライナ人消滅の始まり—槌鎌を嫌悪する人々の視点-(松沢呉一)
ハーケンクロイツの夢
本日、19時半から、「月刊 生き違い新聞」第3号です。
そのためだと思うのですが、昨日、高円寺にいる夢を見ました。
知人と高円寺駅で降りて、改札を抜けたところで、大学生くらいの若い男が我々の前を横切りました。その腕にハーケンクロイツの腕章が巻かれています。
それを見た知人は「注意してくる」と駆け出しそうになり、慌てて私は知人の腕を掴みました。
「待て。ハーケンクロイツくらいいいだろ。虐殺を肯定しているわけじゃなし、ナチス以前からある記号としてつけているのかもしれないんだから」
「ヨーロッパだったら犯罪ですよ」
「それはドイツだけ。ヨーロッパに広げるな。それに、ここはドイツじゃない。高円寺だ。お前の好きな槌鎌だって同じだぞ」
彼は左翼です。槌鎌が好きかどうか知らないですが、かつてソ連の支配下にあった国々ではソ連の象徴として蛇蝎の如く嫌われていています。ポーランドやチェコのようにナチスに蹂躙された国もありますが、戦後世代の記憶に刻まれているのは槌鎌です。もう懲り懲りでしょう。
可決された例はないと思いますが、槌鎌を禁じる法案が出された国もあります。左翼系のデモに行けば今も槌鎌入りの旗を見ることができますので、それをいちいち注意して歩いているのなら一貫してますが、ハーケンクロイツのみを特別視するのはおかしいでしょ。
それでも、彼は私の制止を振り切って、走っていきました。
そんな夢。夢の中でも私の言うことはブレないです。
ナチスがやったことを否定するのは当然。同じく大量虐殺をしたソ連を否定するのも当然。中国共産党を否定するのも当然。クメールルージュを否定するのも当然。この辺がホロコースト・グループであり、共通項は全体主義です。
中でも中国は現在も変わらず存在していますし、ロシアもソ連を継続していて、戦争のやり方を見ても赤軍と同じです。そのロシアがウクライナに侵攻し、距離を置きつつ協力関係にあるのがベラルーシ、金で自国兵を売った北朝鮮、裏でサポートしているのが中国。極悪全体主義連合。
✴︎ソ連国旗の槌鎌と星
改めてホロドモール
ウクライナ情勢はずっとチェックしていますが、このところ動きが急で、なおかつ確認をとり、理解するのに手間取る内容が多いので、理解する頃には次のことが起きてしまい、なかなかまとめることができませんでした。
すでに大枠は理解できていることなので、ボグダンさんのこの回は取り上げておくことにしました。
ホロドモールです。
ホロドモールについては「ビバノン」でも何度か取り上げています。ウクライナに侵攻する前に書いていたのが「事実を知り、考えるために—ポグロムから学んだこと[10](最終回)」。このシリーズは、ユダヤ人に対するポグロム(虐殺)はヨーロッパ各国で行われ、ナチス台頭以前にはドイツがその中心地ではなかったのに、ナチスによってその集大成と言っていいホロコーストが実施されたことによって、すべての責任がナチス、そして戦後のドイツに押し付けられたという見方をまとめたものです。
この影に隠されたのは多数のポグロムだけではなく、ホロドモールもまた隠された歴史のひとつです。今なおこの大虐殺について知らない人も多いのではないかと思われます。
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