松沢呉一のビバノン・ライフ

田中東子・東京大学大学院教授のBLポルノを大学側はどうとらえるべきか—懲戒の基準[55]-(松沢呉一)

人んちに侵入してチンコ出して放尿した局員に懲戒処分なしのTBS—懲戒の基準[54]」の続きです。

 

 

大学教授と18禁BLポルノ作家の二足の草鞋

 

vivanon_sentence1年以上前に出した「日本テレビに忖度した(?)田中東子・東京大学大学院教授のコメント—ジャニーズ時代の終焉と新時代の幕開け[13]」のアクセスが急増。「なんでだ?」と思ったら、田中東子先生が書いた18禁BLポルノが話題なのですね。おめでとうございます。

あの回に書いたジャニーズ事務所の件では、不幸な事件に便乗して、再発防止になるはずのない持論をすり込ませるサイテーのクズ学者としか思えませんでした。それ以外の仕事を一切知らなかったのですが、BLポルノ作家として素晴らしい才能を発揮しておられるようで見直しました。

田中教授とポルノ作家の黒澤多香子という人物が同一人物であることについては、そう判断するに十分な根拠があります。暇空茜によるこちらのまとめを参照のこと。

違うなら違うと言うでしょうが、田中教授の裏アカと思われる多香子名義のアカウントはすでに消されていて、自ら答え合わせをしたようなものです。

このことから、BLで自己表現をしながら、日本赤十字社が「宇崎ちゃんは遊びたい!」のキャラを起用したことを批判したのはダブスタだと批判されています。後者について田中先生は「広告を特定の層だけに届けるのは難しく、不特定多数を想定して作る必要がある」と言ってますから、この範囲に限れば、特定の層にしか届かない自分のポルノは許されるのだとの言い分は成立するかもしれないですね。それを受け入れる人がどれだけいるかわからないですが。この範囲以外は知らない。

だったら、国立大学の教員が別アカではあれ、不特定多数に届くSNSでBLについて書き、見た目だけで他人をゲイだと決めつけるようなことまで書くのもアウトじゃね? 田中先生の見た目で「この人はエロの妄想で頭が破裂しそうだな」なんて書かれたらどうですかね。現実にそうだったもしても。

宇崎ちゃん騒動についてはさらに「批判されたらやめるだけでなく、意思決定に女性が加わっていたかなど、問題となった広告の作成過程もオープンにしてほしい」と言ってます。バカの一つ覚え。

エロが好きなのは男に決まっているとの根拠なき思い込みにとらわれ、その思い込みをテレビや新聞を通して不特定多数に拡散しながら、ご自身は頭の中をエロまみれにしながら、せっせとポルノ執筆に勤しんでいるのですから、この点においてははっきりダブスタと言って差し支えないでしょう。現時点で、ポルノ作成について自身の表現であることをオープンにしてませんから、この点でもダブスタです。自分の発言に従って、黙るのでなく、とっとと釈明すべきだと思いますけどね。

でも、ポルノ作家としても、大学の教員としても、「ファンタジーの世界に生きている」という点で一貫してますね。

これ以上のことは確認してないので、踏み込まないでおきます。

✴︎黒澤多香子(作)/やかん(絵)『農業男子!~年下男にオレが収穫されそうな件 1 農業男子!~年下男にオレが収穫されそうな件

 

 

副業の手続き違反の可能性

 

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今まで幾度となく、こういう事例があると、すぐに勤務先の責任を問う声が上がり、中には直接勤務先に電話をしたり、メールを送ったりするのもいます。しかし、懲戒処分はルールに則らなければならず、懲戒できないものはできないのであって、大学にルール違反を求めるべきではありません。しかし、ルールに照らして懲戒すべきなのに、大学側が何もしないのであれば批判していい。

では確認してみましょう。

私がまず気になったのは田中東子・東大大学院教授は、大学の許可を得て、自作ポルノを販売しているのかってことです。

運用がアバウトな大学もあるようですが、非常勤講師は別にして、大学の教職員が兼業や副業をする場合は、依頼する側、あるいは依頼される教職員自身が事前に届出をしなければならないことになってます。

Amazonで販売されている著書は田中先生が大妻女子大学教授だった時代のものと思われますが、同大は副業についての規定は公開していません。私大は規定の類を公立の大学ほどは公開しないことは今まで何度が指摘してきた通りです。

東大勤務の前に出した本の印税を受け取り続けることは届出が必要ないのかもしれないですが、同人誌もやっているようなので、その売り上げを得ているのだとすると、届出が必要でしょう。

東大の場合は以下。

 

本学教職員に依頼される兼業が次のいずれかに該当する場合は、本学の規則により許可することが出来ません。

  • 兼業のため勤務時間をさき又はさくおそれがある場合
    ただし、裁量労働制適用教員については、兼業に従事する総日数が4週間につき1週間(土曜日及び日曜日を含む。)あたり3日を超える場合
  • 兼業による心身の著しい疲労のため、本学の業務の遂行上その能率に悪影響を与えると認められる場合
  • 本学の信用を失墜させ又は不名誉となるおそれがある場合
  • 特別な利害関係(物件の使用、権利の設定等についての許可等、又は工事契約、物品購入契約等の契約関係をいう。)がある又は生じるおそれがある場合
  • 常勤の職に従事する場合
  • 兼業に対する報酬の額が1回につき社会通念上合理的でない場合
  • 営利企業の経営上の責任者となる場合又は営業に直接関与する場合
  • 営利企業以外の事業の団体の会長、理事長、理事、監事、顧問などの役員等及び機関の長の職を兼ねる場合
    ただし、独立行政法人・大学共同利用機関法人の役員、又は以下に該当し公益性が高いと認められる団体の役員を兼ねる場合は許可することができます。[1] 国際交流を図ることを目的とする団体
    [2] 学会等学術研究上有益であると認められ、当該教職員の研究分野と密接な関係がある団体
    [3] 学内に活動範囲が限られた団体及びこれに類するもの
    [4] 育英奨学に関する団体
    [5] 産学の連携・協力を図ることを目的とする団体
    [6] 教育、学術、スポーツ、文化又は科学技術の振興を図ることを目的とする団体

 

 

 

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